1960年代独立ラッシュを迎えたアフリカでは、この社会の大変革期ならではの様々なバッジが作られていて、私はひそかに興味を持っているのだがなかなか入手する機会がないのが残念だ。
今日の一枚は、バッジならぬダホメ共和国(République du Dahomey)の国家勲章である。割と簡易なツクリで、幅70mmと大きさはあるものの勲章ならではの存在感に乏しい。正直これだけ見るとどこかの国の公式の勲章なのかとちょっと疑いたくなるが、れっきとした勲章である。
ダホメ共和国といってわかる人は少なかろう。アフリカ西部にかつて存在した国で、1960年にフランスから念願の独立を果たした。
しかし長くは続かなかった。独立後は内戦とクーデターが相次ぎ、1975年には社会主義体制のベナン人民共和国となった。このベナン人民共和国も社会主義体制が崩壊し、1990年にはベナン共和国となって現在に至る。
この勲章の形は、フランスの代表的勲章であるレジョンドヌールに似ていることに気がつくだろうか。それどころか、この勲章の箱には、パリのメーカーの名前が見える。フランス製らしい。独立後も宗主国の影響はこんなところに残っている。
この勲章は中央にダホメ共和国の国章を配しており、またレジョンドヌールの形状に似ていることからも、ダホメを代表する勲章であったことがうかがえる。