昔からどうも仏教そのものに関心がない。
知り合いに仏教美術が好きな人がいて、話を聞いたことがあるのだが私には何がいいんだかやっぱり興味が持てないのであった。それとも私ももっと歳をとったら興味の対象も変わってその良さがわかってくることもあるのだろうか。
そんなわけで仏教系バッジにもあまり関心を持っておらず、コレクションにあるのは仏教系でも少し特異な新興宗教系のものばかりだ。
そんな私だが、今日紹介する一枚は、鶴丸デザインからも明らかな仏教系バッジにして、その美しさに純粋に惹かれて購入したものだ。
七宝の美を強調したバッジで、よく見るとバッジの土台に七宝を施したパーツをはめ込むという凝った方法で作られている。七宝は水色、白、黄、黒の4色。七宝の表面は非常に平滑に磨き上げられており、保存状態の良さもあってまさにガラスのようにピカピカである。オリジナルの箱もついているが、残念ながらメーカーは不明。
裏面を見ると、「宗祖大師六百五十回忌紀念 大谷派本願寺」とある。これでバッジの製作目的と発行者と年代が特定できる。
大谷派本願寺の宗祖は親鸞聖人。没年は1262年であるので、650回忌は1911年(明治44年)となる。真宗大谷派公式サイトでも確認することができた。
平成30年版の宗教年間によれば、真宗大谷派は寺院数 8,516、信者数7,780,331というから日本を代表する大教団である。本山は、京都駅からも見えるあの大寺院、東本願寺なのだから、力がうかがえる。
大谷派のバッジは仏教系のなかでも目立つ存在といえるだろう。特に婦人会の有功章などはちょっとした勲章並みの存在感だ。おそらく明治の昔から、組織の運営のアイテムとして徽章を活用してきたことがうかがえる。
それにしても、これは明治期のバッジとしても傑作と思う。個人的には大好きな一品だ。
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