徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 東京オリンピック聖火リレーバッジ

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3月24日、ついに2020年の東京オリンピックの延期が正式に決まった。

これまでもオリンピックは戦争による中止という事態はあったが、延期という事態は初めてとなる。それもコロナウイルス病の蔓延による延期である。

まさかこんな事態になるとはだれが予測したろう。中国でのコロナウイルス蔓延など、初めは対岸の火事と誰もが思っていたはずだ。それが、今や欧米ですでに爆発的に感染拡大し、大変な事態となっている。

ある意味、現在を生きる我々は、実に歴史的な体験をしていることとなる。

 今日の一枚は、オリンピック聖火リレーのバッジでも掲載しておこう。

大会マスコットであるミライトワが聖火を持って走っているデザイン。五輪マークの上の赤いロゴは、聖火リレーのロゴなのだそうだ。

聖火リレーの実施を記念するために作られたこれは、実に歴史的に皮肉なバッジになってしまった。聖火リレーを盛り上げるために作られたアイテムのはずが、別の意味で記念的な存在となった。

当初、オリンピックは予定通り開催すると日本の組織委員会もIOCも強気の態度を表明していた。ヨーロッパのコロナウイルス感染拡大の状況はますますひどくなっており、4月を待たずに延期の決定をせざるを得なくなった。一旦は予定通りの大会開催を言明しておきながら、追い込まれた末の苦渋の決断であった。

まあ、仮に予定通り開会を強行しても、ロクな大会にはならないであろう。すべての計画が狂ったまま突っ走っても、きっと惨憺たる結果しか待っていない。延期して体制を立て直したほうが良い、と判断したのだろう。

しかし、延期の判断を待たず、聖火はすでにギリシアで採火され、日本に到着してしまった。採火式も、日本での到着式も、ひどいものであった。ウイルスの感染を防ぐため、無観客の殺風景な中で行われた。

予定では3月26日から東日本大震災の被災地福島からスタートするはずだった聖火リレーは、沿道に人が集まらないように準備され、一体何のためのリレーだかまるで分らない。国内リレーが始まる前に大会自体の延期が決定されてしまい、聖火は国内で来年まで保管されることになったらしい。何から何まで異例づくめの展開だ。

来年になれば本当にこの騒動が落ち着くのか。ここまで感染が拡大するとはだれも予想していなかったのと同様、いつになれば沈静化するかも誰にもわかるまい。今回の件で痛感したのは、将来のことは一「寸先は闇」だということだ。

1940年に開催されるはずだった東京オリンピックは、戦争の影響で開催が不可能となり、結局日本は開催権を返上することとなった。しかし、日本の実行委員会は、当時も何とか開催にこぎつけようと必死の努力をしていたのである。国内からはオリンピックより戦争準備だと批判され、海外からは紛争当事国の日本にオリンピックを開催する資格があるのかと責められながら。

ギリギリまで大会を開催すべく努力した当時の日本関係者と、予定通りの開催を強弁する今の関係者の姿が、私には重なって見えてしかたなかった。

まさに一寸先は闇。私がすでに購入したオリンピック観戦チケットの運命も、一体どうなることやら。

はあ・・・(溜息)。