徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 衆議院秘書記章(昭和30年前後?)

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衆議院秘書記章

あけましておめでとうございます。2021年となりました。

新型コロナウイルスが猖獗を極めているこの頃(といっても感染認知者数は日本ではまだ人口の1%にも遠く届かないのだが)、私は今のところ発症の自覚症状はなく、ということはおそらくは感染を免れて来られている。あと10年20年したら、あの時のウイルス禍はすごかったなあと歴史的な感慨にふけることもあるだろうかと考える。早くそうなってほしい。マスク嫌いなんだよ。

さて、そんな時代になっても、政治と金を巡る問題だの、政治家とその秘書の責任問題だの、まるで昭和の時代に逆戻りしたようなニュースが政治的大問題となっているのだから世の中もわからないものだ。もちろん「桜を見る会」事件のことである。

現段階では、前首相の公設第一秘書が略式起訴される見込みであるらしい(それで事件が終わるかどうかは不明だが)。

このニュースでしきりに出てくる秘書ってどういう秘書だろ?と思っていたのだが、どうも「公設第一秘書」の人だったようだ。

公設秘書には議会通行用の記章が交付される。国会議員記章とは別の、「秘書記章」というものがあるのだ。略式起訴を受けそうな「公設第一秘書」氏も、秘書記章をつけて国会に出入りしていたはずである。

国会議員記章は、衆参両院ともこれまで数度にわたり更新されている(このことは当ブログで何度か取り上げてきた)。秘書記章も、衆議院参議院の別があるのはもちろんのこと、議員記章以上に頻繁に更新が行われていて非常に種類が多い。私のコレクションにも複数種あるが、全く全体像がつかめない。

議員記章ほどメジャーな存在ではないこともあって、いつどのような秘書記章が使用されていたのかなど実態について情報がなかなか得られないのが非常に残念だ。

画像のバッジは、断片的情報ながら昭和30年前後の衆議院秘書のものと思われる。いろんな形状のバッジが存在するが、衆議院のものは「衆」の字、参議院は「参」の字が入っているパターンが多く、画像のバッジのように無字のものはマイナーであるようだ。

そのため、このバッジは一見、秘書記章っぽく見えない。手元にある秘書記章の中でも異質な雰囲気ながら、葉に囲まれた菊花が七宝で彩られていて美しい。丁寧にも、よく見ると菊の葉には2色の緑の七宝が用いられている。

国会には、秘書記章や議院通行記章、議員職員記章、国会記者記章など、様々なバッジが更新を重ねつつ今なお使用されており、その豊富さたるや、わが国の政治世界には独自の徽章文化が人知れず生きていることを改めて感じさせるのである。

桜を見る会事件では、図らずも政治の世界の前時代性を国民に強く印象付けることとなったと思うが、こういう独特な徽章文化も、国会が十分前時代的な環境である表れであるような気がする。

いや、矛盾しているのは、今回の事件の政治の世界の前時代性に違和感を抱きつつも、この特殊な環境に適応し独自の進化を遂げた政治界の徽章に対しては、つい「慈しみ」に近い感情を抱いてしまう私自身のほうかもしれないのだけど。