徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

国民堅忍章

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国民精神総動員中央連盟(造幣局造)作成の「国民堅忍章」。

国民精神総動員運動」とはなにか。
「国民精神総動員実施要綱」(昭和12年8月24日 閣議決定)によると、その趣旨は、
「挙国一致堅忍不抜ノ精神ヲ以テ現下ノ時局ニ対処スルト共ニ今後持続スベキ時艱ヲ克服シテ愈々皇運ヲ扶翼シ奉ル為此ノ際時局ニ関スル宣伝方策及国民教化運動方策ノ実施トシテ官民一体トナリテ一大国民運動ヲ起サントス」という。

近衛内閣が戦争遂行のために挙国一致」「尽忠報国」「堅忍持久」をスローガンに日本精神高揚を図った運動である。まあ、この結果がどうなったかは歴史が示すとおり。

このバッジの箱にはこうある。
「長期戦「支那事変」を克服する堅忍持久の精神を表徴する為に国民一人残らず本章を佩用いたしませう。「堅忍」の文字は会長有馬良橘大将が揮毫されたものです。」
「一人残らず佩用しろ」という主張も大胆だが、そんなに普及したのかどうかはよくわからない。
この有馬大将というのが、日露戦争では東郷元帥のもとで、旅順港閉塞決死隊の指揮官として活躍した人物だそうで、日露戦争の英雄の一人でもある。なるほど、会長としては十分重みのある人物だったわけだ。この揮毫を見るかぎり、達筆とは思えないが、真面目で一生懸命な性格が見て取れるようである。