徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本橋の過去と未来 ~日本橋開橋紀念章(明治44年)~

日本橋開橋紀念章(明治44年

今日も明治時代のバッジを紹介する。

 

今では東京日本橋の上に高速道路が建設され、分断されたようになっている。私などは完全にそういうものだという気になっているが、当然以前の景観は全く異なる。

「高速道路を撤去し、日本橋をかつての姿に」という運動があることは知っていた。だが、名橋「日本橋」保存会という組織が、首都高速道路が作られた昭和38年の5年後に創設され、高速道路撤去の主張をしているというのは知らなかった。日本橋の景観を悪化させる高速道路には、早くから反対意見があったのだ。

技術的には可能ということだが、高速道路の架け替えはきっと恐ろしく大工事になるのではないか。が、もしできたら、日本橋の景観は一変するだろう。確かに見てみたい気はする。

さて、現在の橋そのものは、明治44年(1911年)に完成した。開通式は4月3日に行われたという。それまでは江戸時代以来ずっと木造橋をかけ替えてきたのだから、意外と新しく作られたように感じる。新たに建設されたのは石造二重アーチ橋である。西洋風意匠が施され、装飾的である。

その後、関東大震災東京大空襲と、災害戦災による被害を受けつつ現代にいたる。今では橋全体が重要文化財に指定されている。

さて、今日の一枚はその開通記念品である。

オモテ面は橋の様子で、石造りのアーチや欄干の飾り、遥か雲の上にのぞく富士山が味わい深い。打刻は比較的薄く、銀製で金メッキが施されている。経年劣化により縁のあたりにメッキの傷みが見える。

裏面には「明治四十四年四月日本橋開橋紀念章」(「記念」ではない)とある。

箱付きで、ふた裏に「林製」の金文字が見える。聞き覚えのないメーカー名である。

ツクリとしては特筆すべきことはないが、全体に丁寧なツクリで、歴史的な意義ある一品である。