徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

ジャマイカ国章バッジ

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日本モノばっかりで、ちょっと飽きてきたんで目先を変えます。
そもそも私のバッジコレクションにおいて、日本モノは完全に少数派なんで、それほどおもしろいもんじゃないんです。

さて、今日は美しいジャマイカ国章バッジ。
直径約49mmの堂々たる大きさ。銀質の素材に鮮やかな七宝仕上げ、中央のジャマイカ国章部分(2人の人物と盾)別パーツで周囲と固定されている。透かし彫りとなっているため、服につけたとき、中央の模様が浮き上がって見えるというわけだ。ツクリといい、デザインといい、色合いといい素晴らしい逸品。もちろん保存状態も抜群にいい。

さて、細部を見ていこう。
中央はジャマイカ国章、ただし1962年の独立以前の英領時代のもの(このバッジは20世紀初頭ものらしい)。現在の紋章も基本的には同じだが、下部に書かれるモットーが"Out Of Many, One People"("多数民族から単一民族へ”)と変えられている。
右に弓を持つ男性、左にかごを持つ女性。中央の盾は銀地に赤のクロスと5つの金色のパイナップル。盾の上にはワニ、下には"INDUS UTERQUE SERVIET UNI"とラテン語のモットーが書かれる。
周囲の円部分には、イギリス国王の紋章のパーツが見られる。まず、"HONI SOIT QUI MAL Y PENSE"は、イギリス最高位勲章のガーター勲章にも見られる同じ有名なフランス語の句で「思い邪なる者に災いあれ」の意。上下の盾「三頭のライオン」はイングランドウェールズ含む)、右の盾「立ち姿のライオン」はスコットランド、左の盾「竪琴」はアイルランドをそれぞれ意味する。イギリス国王の紋章はこの4つがひとつの紋章に4分割して描かれている。

初めにこのバッジを見たときは、古いジャマイカのバッジということ以外、この盾や文句がなにを意味するのやらまったく分からなかったが、調べるうち色々分かってきて、大変興味深かった。

なんにせよ、美しいバッジである。ついに我々の時代は21世紀になったが、感心するほど美しいバッジにはなかなかお目にかかることはできない。ただ安っぽいバッジが、量だけは桁外れに大量に製作されるようになっただけではないのか。テクノロジーの進歩とモノの善し悪しは比例しないようだ。