徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ 伐採・製材業労働組合バッジ

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こちらもAFL(American Federation of Labor;アメリカ労働総同盟)系の労働組合で、伐採・製材業労働者組合バッジ。1959年製。

大きな丸鋸の中に、製材用の針葉樹、斧、鈎とノコギリを組み合わせ、「A F OF L」を配したデザインは、なにやら呪術的イメージだ。
それもそのはず、中央上部にはハッキリと定規とコンパスを組み合わせたフリーメイソンのシンボルが描かれている。そこに書かれている「U B of C & Jof AMERICA」等の文字の意味は不明(誰か知っていたら教えてください、ぜひ!)。フリーメイソンのシンボルは普通コンパスが上で、下に定規のはずだが、これも意味があるのか不明。

もっとも、フリーメイソン自体、中世の石工の共同扶助組織に起源を持つ組織で、現代の労働組合とはやや趣が異なるかもしれないが、相同とみなしてよいだろう。俗説に言う「フリーメイソン=世界征服をたくらむ秘密結社論」は、まったく根拠がない。フリーメイソンが秘密の入会儀式を始め、呪術的色彩を好む傾向があるのは確かだが、個人的感想から言わせてもらえば、それはどの組織にもある独特の美意識、みたいなもんである。

もっともこのバッジが面白いのが、AFLという労働者の権利を守るための現代アメリカ労働組織と、中世ヨーロッパに起源を持つフリーメイソンの意匠が混じり合う、この不思議さである。