徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 「錯版」毛沢東バッジ

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諸般の事情で、今年の冬は中国にも行かず、ひたすらうちでゴロゴロする計画・・・というか、要は何にもすることがない。みごとなほど、なにもないのである。
今年の冬休みは長いので、この調子で来年仕事に戻れるのか今からすでに心配になってきたところだが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて。
コミュニストの象徴、槌鎌マークの左右については、「単に間違いのものもある」と先日書いたが、その実例を紹介しよう。文化大革命期の毛沢東バッジの場合である。

ここに2枚挙げたバッジは、集寧市(内蒙古自治区)革命委員会の「歓呼九大」バッジである。「九大」とは中国共産党の第9回大会の意。1969年春のモノである。直径が75mm近くある、かなり大型の毛バッジだ。
天安門広場と、空にはアドバルーン、下には林立する旗。そこに注目してもらいたい。
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左のバッジには、一番手前の旗に槌鎌が描かれている。と言うことは、ただの無地の赤旗ではなくて、中国共産党旗のつもりなのだろうが、この槌と鎌の左右が逆だ。カマの柄が右に、ハンマーの柄が左になってしまっている。
(注意:ソ連国旗と中国共産党旗を混同する人が多いが、とりあえずは「槌鎌+星」がソ連国旗、「槌鎌だけ」が中国共産党旗と思って欲しい)

文化大革命期、大量に作られた毛沢東バッジには、稀にこうした「間違いバッジ」の存在が知られており、「錯版」と言われる。いまやマニアの間では人気となっている。槌・鎌の左右間違いは、中でも比較的よくあるパターンだ。

ところが、おもしろいのが、これを修正したモノが同時に存在することで、それが右のバッジである。
こちらでは、旗の上の槌鎌が明らかに削り取られており、粗めのヤスリの跡が見て取れる。つまり制作側は、この間違いを認識しており、後から修正を加えたものも作っているのである。

このミスが当時政治問題になったかどうか、今となっては知る由はないが、単に間違いを削り落として済ませてしまうあたり、政治的にもなかなか優れた対応といえよう(笑)。