コレクションというのは不思議なもので、どんなに数が増えようと、ひとつひとつ、手に入れたときのことをけっこう覚えているものだ。記憶力の悪い私でさえそうなんだから。
画像は、1952年の山西省臨晋県の労働模範代表大会の記念メダル。まだ中国に行きたての頃のことだった。冬の西安は寒かった。たまたま通りかかった骨董店のケースの中から拾い上げたのがこのメダルを含む数個のバッジ。値を聞くと予想以上に安かったので言い値で買った。
このメダルは、実に堂々としていて安定感あるツクリなのだが、反面陳腐というか面白味に欠ける。中国における労働模範メダルの典型的な雰囲気である。まあ安っぽい感じを受けないのはそれなりに好印象。
よく見ると、ごくわずかに金メッキが残っていて、当時はキラキラ輝くメダルであったに違いない。
五角星型を基本として、赤い星、歯車・麦穂に鎚鎌。真ん中にデカデカと「奬」の文字。
これを胸につけたのは、果してどのような農民または労働者だったのだろうか。そんなものが、今でははるばる日本の地にやってこようとは、誰が予想できただろうか。
いつもそう考えると、とても不思議な気分になってしまうのである。