この前、「徽章と徽章業の歴史」という古書で、業界の草分けとなった大日本徽章商会と創業者・鈴木梅吉のことを読んだ。
ところで、日本の徽章の特徴だと思うのだが、多くの場合、徽章は桐の箱に納められている。そして、製作したメーカーの名前などはそこに書かれることが多い。ヨーロッパや中国の場合、直接徽章の裏面に刻印するパターンが多い気がするのだが、日本ではあまりそういうのは見かけない。
前からこのことについては気になっていて、箱に押されたメーカーの印から製作時期や場所が特定できたらおもしろいなあなどと考えていた私である。
で、せっかくこのような本に出会えたことで、大日本徽章商会製のバッジはないものかとコレクションを改めて探してみると、何点かみつけることができた。その中のひとつがこれ。
箱裏のスタンプで、その出自を知ることができる。
箱裏のスタンプで、その出自を知ることができる。
ここには、「大日本徽章商会」の名前ではなく、経営主の「鈴木梅吉」の名前が記されている。この本に会えなかったら、これが何者なのか永久にわからなかっただろう。
肝心のバッジの方はこちら。
肝心のバッジの方はこちら。
バッジには何も書いていないが、ふたの表に「忠勇顕彰会 特別賛助員章」とある。
バッジの方も、上半分が旭日で下半分が桜花、中央は菊水紋に「忠」の文字、とまさに忠勇顕彰を形に表したような意匠である。
残念ながら忠勇顕彰会がどんな組織なのかはまったく不明で、字面から想像するほかないのだが、軍事関係者を顕彰する戦前の民間団体なのだろう。
バッジの方も、上半分が旭日で下半分が桜花、中央は菊水紋に「忠」の文字、とまさに忠勇顕彰を形に表したような意匠である。
残念ながら忠勇顕彰会がどんな組織なのかはまったく不明で、字面から想像するほかないのだが、軍事関係者を顕彰する戦前の民間団体なのだろう。
サイズはごく小さいが、銀の土台に桜花と菊花に金メッキを施したどことなく高級感漂うツクリで、刻印も鮮明でシャープな仕上がり。こうして改めて見ると、けっこういいバッジだなと思った。