徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 同盟勝利記念章~アメリカ軍へ贈ったメダル~

イメージ 1

アマゾンに予約していた待望の「中国的天空(下)-沈黙の航空戦史」(中山雅洋著、大日本絵画)が、今日ようやく届いた。上巻は中華民国の幕開けから日中戦争前半までで、下巻は日中戦争後半から中華人民共和国の成立までを描く。
さっき読み始めたばっかりだが、期待を裏切らないおもしろさである。

首都南京陥落以降、ますます強化される日本軍と、ほとんど壊滅状態に陥った中国軍の航空戦力。この苦境を脱するため、中国軍の「お雇い外人」将軍(アメリカ人)が打った手が、アメリカ軍兵士を金で雇い入れることであった。
もっとも、真珠湾以前のアメリカは、中国への救援は極めて消極的だったのだが、とにかく金でパイロットと整備員、機体を苦労してかき集め、とりあえずも日本軍への対抗力を養成したのだった。
まあそんなこんなで始まったアメリカと中国の共同戦線だが、アメリカ参戦で本格化する。

そんなわけで、共に日本軍と戦ったアメリカ軍将兵が中国でもらったメダルや勲章はかなり数が多い。時として「えっこんなモノまで!?」と思うような逸品がアメリカから出てきたりするのもそんなわけである。

今日の一枚もその関係のモノ。全体にアメリカ軍的なツクリで、初めはアメリカモノかと疑ったが、内容からしても、七宝や刻印の雰囲気からしても紛れもない中国製である。

上部「TO COMMEMORATE VICTORY OF THE AMERICAN ARMY IN CHINA」
(在華米軍の同盟勝利に)
本体裏面「PRESENTED BY THE CIVILIANS OF SINTSING, SZECHUAN,CHINA. OCT 10TH.1945」
(四川新津?民衆贈、1945.10.10.)
とある。
1945年の10月10日といえば、対日戦勝利直後の建国記念日である。それを記念して、アメリカ軍関係者に贈呈したのであろう。

本体のデザインは、アメリカ軍のシンボルの星型の中に、勝利を示す「V」、中国(太陽)とアメリカ(星)の同盟を表している。
リボンの赤白青の3色は、米中両国の共通したナショナルカラーでもある。

おそらく四川省の新津県で作られたものと思われるが、現在の行政区分では四川省成都市の一部となっている。この地域とアメリカ軍との関係は手元に資料がないのでよく分からないが、成都は日本への重要な反攻拠点だったので、この地域にアメリカ軍との関係があったのは当然である。

入手したときはあまり深く気に留めていなかったメダルだが、こうしてよく見てみるとなかなか味わい深いメダルに思えてきた。