徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 皇祖皇太神宮最高幹部之章

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ちょっと変なモノを紹介したい。

皇祖皇太神宮」、と聞いて反応する人は、なかなかの古史古伝マニアといっていいだろう。竹内文書で知られる竹内巨麿が設立した新宗教の神宮である。現在も北茨城市に社が存在(富山から遷宮されたらしい)する。
正しくは、「こうそこうたいじんぐう」ではなく、「すみおやすみらおおたましいたまや」と読ませるらしい。

竹内文書は、なんといってもその内容のトンデモぶりで有名である。
現在でも神宮の公式サイトを見ると、
天皇が日本国だけの天皇となったのは神武天皇以後のことで、それまでの代代の天皇は一代に一度は必ず万国を巡幸(世界一周)されることを恒例とし天空浮船(あめそらうきふね)に乗って巡幸されながら、万国それぞれの国王、尊者、民主に謁(えつ)を賜り、任命されるなど光明赫灼とした、正に万国の棟梁、世界天皇でした。」
「不合朝六十九代 神足別豊(かんたるわけとよすき) 天皇の御代にモーゼ、七十代 神心伝物部建(かんこころつとうものべたて)天皇の御代に釈迦、神倭朝初代 神武天皇の御代に老子、第三代安寧天皇の御代に孔子、第六代考安天皇の御代に孟子、第十一代垂仁天皇の御代にキリスト、第三十代欽明天皇の御代にモハメットとそれぞれ来日、参朝し、修業して帰りました。」
などとあっさり書いているところがスゴイ。
神武天皇以前に、神代七代、上古二十五代、不合朝七十二代が歴代天皇として名を連ね、超古代天皇は空飛ぶ舟で世界中を巡幸し、モーゼ、釈迦、老子孔子孟子、キリスト、モハメットなど人類史上の超ビッグネームがことごとく日本に来て修行していったというのだ。青森にあるキリストの墓も竹内文書が元になっている。超古代では、日本が世界を支配していたのである。なんというスケールのデカさ。

・・・まともに考えると頭がクラクラしてくるが、却って荒唐無稽すぎるくらいがよいのかもしれない。中途半端にリアルだと逆に史実との矛盾を追求されかねないが、ここまで来ると史実云々というレベルを超越している。このスケールのデカサこそが、今も続く人気の秘密だろう。
このデンでいけば、北方領土竹島尖閣諸島の領有権問題などモノの数ではない。世界はそもそも日本のものだったのだ! 
はぁ・・・もっとも、これを文字通り信じるかどうかは、人気とは別問題なのだが。

さて、今回のバッジである。
裏面に「皇祖皇太神宮最高幹部之章」と書かれたもので、かなりのレアモノなのではないかと思っている。これが、実にデカイ! 直径92mm以上もある。このブログで紹介してきたコレクションの中では最大級で、かつて直径100mm超の毛沢東バッジを紹介したことがあったが、それに次ぐ大きさである。バッジというより、まるで勲章のような出来である。
それにしても、最高幹部ってどんな人たちなのだろう?

これが皇祖皇太神宮のシンボルなのかと思っていたのだが、おそらくそのとおりで、公式サイトに資料館の神宝として「菊型御紋」が掲載されている。
「代々の天皇は必ず、皇祖皇太神宮の大前で、自ら祭主となって大祭礼を行いたまい、即位された後、天津高御座(あまつたかみくら)に御せられ、南面し、手には万国棟梁(とうりょう)天皇としてなくてはならぬ神剣 神日本魂剣(かみやまとたましいつるぎ)を執(も)ち、身には天照日神の稜威燦(あまてらすひのかみみいつさん)として十六方に光り輝くさまを現した日輪章(菊型御紋章)をつけたまい、世界万国から集まった尊者民主(みっとそん)の祝賀を受けられました。」
と説明されている。
どうやら、この最高幹部之章も、それを模したモノらしい。

それにしてもこれ、七宝の色が非常によくない。地金の素材の問題があるのか、表面処理の問題なのか、特に赤地の七宝は色がくすんでしまって、ほとんど茶色にしか見えない上にムラだらけ。中央の部分もメッキが悪いのかなぜか妙にざらつき、今にもサビが浮いてきそうだ。デカイだけで、質が全く伴っていない。
ここまでのモノを作るんならせめてもうちょっと丁寧な仕上げをして欲しかった・・・とつくづく思う。