徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 台湾金門島で青天白日勲章盗難事件が発生

このゴールデンウイーク中にちょっと気になるニュースがあった。
去る5月4日夕方、台湾の金門島にある胡璉将軍紀念館で、ケース内に展示されていた胡璉将軍遺品の「青天白日勳章」がなくなっていることがわかった。監視カメラの映像から、中国大陸からの観光ツアー客が盗んだものと判明したが、犯人はすでに帰国。税関のX線画像記録から、厦門に持ち出されており、犯人は喬という76歳の男だった。台湾当局から要請を受けた中国警察は、8日、犯人が厦門から黒竜江省に帰る列車内で逮捕したという。
取り戻された勲章は現在北京市当局が保管しており、31日には台湾へ返還される予定という。明日だ。

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事件を伝える報道

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展示されていた青天白日勲章

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展示品の青天白日勲章アップ。経年変化による七宝の傷みが見える。
(それにしても、勲記といい、勲章といい、展示品はもっとまっすぐに整えて配置すべきであろう。どこかこの記念館の展示品に対するルーズさを感じる。)
 
胡璉(1907-1977)は、中国の軍人で、抗日戦争での活躍により1943年青天白日勲章を受章している。国共内戦後は台湾金門島の防衛司令部をつとめ、台湾解放を目指す中国共産党軍と対峙した。死後、遺品などを寄贈して記念館が作られた。

しかし、どうなんだろうな、このニュース。
76歳の犯人というのもどうかと思うが、ただの観光客の出来心なのだろうか。
監視カメラの映像では、犯人は人のいないのを見計らって、ドライバーでアクリルケースのネジをはずし、勲章を取り去ったという。その間、2分20秒。防犯ブザーなどはなかったらしい。たまたまドライバーなどを持っている観光客はいるまい。もともと盗難目的で金門島を訪れたのだろうか? 犯人は、中国北端の黒竜江省からはるばるやってきている(北海道から鹿児島より遠い)。なんとなく、その可能性は高いようにも思う。
でも一方で、監視カメラにバッチリ撮られていたり、税関のX線荷物チェックで勲章の画像を撮られていたり、泥棒にしては少し抜けすぎてはいないか。この辺、多少の疑問も残る。

1929年5月11日、中華民国国民政府により制定された青天白日勲章は、国光勲章に次ぐハイクラスな勲章で、蒋介石も愛用した。中央に国章である青天白日章の入った勲章で、わが国の旭日勲章のイメージに近い。受章者はわずか209人といい、中国の骨董市場の相場では日本円にして数百万円ともいう。もちろん、相場は受章者や勲記の有無、保存程度にもよって大きく変わるのだろうが。
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青天白日勲章を佩用した蒋介石

中国の古いバッジが好きな私にとっても、昔からほしかったモノのひとつで、もちろんいまだに手に入れることはできていない。これだけ中国の骨董市場が加熱してしまっては、今後もまず不可能だろう。
犯人の動機はわからないが、おそらく転売目的か。
この事件が報道されるや、中国のネット掲示板では、「恥ずかしいにもほどがある」「国辱モノ」という書き込みが見られた。まあ確かにね・・・