アンゴラのネト、ときいて興奮する人は比較的少数派といわざるを得ないが、ポルトガルからの独立戦争、そして内戦を勝ち抜き、アンゴラの初代大統領となった人物である。キューバやソ連の支援を受け、アンゴラは社会主義国として歩み始めることになる。赤と黒カラーに、五角星、歯車、マシェット(鉈)を配した国旗は、いかにも社会主義風である。
ネトは1979年にモスクワで死ぬが、その遺体はレーニン同様、永久保存処置が施されることとなった。処置を施したのはレーニン廟の管理者であり、スターリンやホー・チ・ミンなど、要人のミイラづくりに携わったセルゲイ・デボフらである。レーニンの権威を利用するために後継者スターリンにより始められた、「革命の父」の遺体を永久保存する風習は、奇妙なことにソ連以外の社会主義国にも広く受け継がれることとなった。スターリン、毛沢東、ホー・チ・ミン、スヘバートル、ゲオルギ・ディミトロフ・・・90年代に入っても、金日成が平壌で永久保存されている。最も社会主義的でない風習が、なぜか社会主義国の伝統として残ってしまったのである。
もっとも、内戦も終結した現在、ネトが今はどうなっているかは不明である。すでにアンゴラの大地に葬られたのかもしれない。
さて、今日のメダル。なんといっても、この面構えのインパクトはスゴイ。高々とした額、それに比べて造作の小さい顔立ち。意志の強そうな肖像である。
「CAMARADA PRESIDENTE AGOSTINHO NETO」は、「同志大統領 アゴスティーニョ・ネト」とでも訳そうか。