徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 淮河治水記念章

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先日の台風18号は、初めは大したことなさそうだと思っていたのが日本列島接近に伴って勢力を拡大したのと、東海地方直撃コースをとったことから思わぬ災害を引き起こした。特に近畿北陸地方では大雨による河川氾濫が続出、家屋、農地の被害は甚大なものとなった。

古代から治水は権力者の最大の責務とされてきた中国。大河の氾濫は、日本の被害程度とは桁外れに大きい。中国では、ここ近年でも洪水は甚大な被害をもたらしており、その脅威を思い知らされる。

さて、今日の一枚は、治水に関するものである。
治淮記念章」とある。要するに、淮河治水工事の記念章である。淮河とは、中国では黄河、長江に次いで3番目に大きな河川である。その流れは複雑で、古代よりしばしば氾濫し、被害をもたらしてきた。
新中国が誕生してから、共産党政権は積極的に淮河の治水に取り組み、大規模な工事を行ってきた。
1954年の夏には、記録的な大雨のために洪水が発生し、多くの死者を出す大災害となった。
本体には、「一定要把淮河修好 毛沢東」(必ず淮河をおさめよう)と書かれ、裏面には「治淮委員会」の文字がある。

淮河の治水は、建国以来現在に至るまで連綿と行われており、この記念章が発行されたのがいつか特定するのは難しい。バッジのツクリからして50~60年代初め頃ではないかと想像した。
調べてみると、裏面にある「治淮委員会」は、1950~1958年に存在した淮河の管理機構らしいことがわかった。
すると、やはり1954年の水害を受けて行われた河川修復工事のものとみてよいのではないか。
バッジ本体のデザインも、荒れ狂う河の流れと、それに立ち向かうように農民と兵士(?)が、彼らの武器であるシャベルとともに、描かれている。
人物の表現が味わい深い。

もっとも、淮河はその後も水害を発生させ、2007年にも1954年に次ぐ規模の大災害が起こった。被災者2000万人というのだから凄まじい。日本の比ではない。