徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 天津市労働模範奨章(1959年)

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振り返ってみてみると、ずいぶんいろんな中国のバッジ類を紹介してきたような気がしていたが、労働模範章はまだたったの2つしか登場していないことに気がついた。
せっかくなので、他にネタもないことだし、今日はこれでいこう。

画像は、私がまだまだコレクターの駆け出しだった頃、北京の骨董店で購入した懐かしい一品。この種のモノとしては珍しくオリジナルの箱付きだったのが目にとまったのだ。
五角星の中に、クレーンで吊されるクローラトラクター?が描かれている。裏面には、「1959年 天津市 労働模範」の文字がある。1959年なので、すでに使われている漢字はすべて簡体字である。

さて、共産党政権になってから、中国のメダル・バッジは、ソ連の影響を大きく受けたデザインのモノが作られた。しかし、それ以前の昔からある中国的な雰囲気のバッジも絶滅したわけではない。また、中国風とソ連風を融合させたような、中華風味の共産主義調デザインも多く生まれた。時代によっても大きく流行は異なるが、まあそれは当然だろう。

この労働模範章は、明らかにソ連の人民英雄メダル(金星メダル)を意識して作られている。そこにクレーンやトラクターを描くことでオリジナリティを出しているが、全体の雰囲気として言えば、完全にソ連風である。

時代はこの後、ソ連との軋轢が強まり、本格的な中ソ対立へと向かっていく。「社会主義の兄に学べ」のスローガンは、程なく「打倒ソ修」へと取って代わったのである。
そしてそれに伴って、バッジ・メダルのデザインも変容を遂げていく。脱ソ連の風潮は、この分野でも起こっていくのである。