徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大日本蚕糸会一等有功章

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群馬県富岡製糸場が、世界遺産に登録される見通しだという。世界遺産登録申請を目指しているという話は知っていたが、正直難しいかなあと思っていた。群馬県人ならぬ私もうれしく思った。
私が近代の産業遺構が好きだからというだけでなく、養蚕業そのものに関心を抱いているからである。

養蚕業は、日本では事実上滅び去った壮大な遺跡である。今残っている養蚕業は、産業というよりむしろ伝統芸能に近い。
当時の凄まじい養蚕業パワーをうかがい知ることができる富岡製糸場が再注目されるというのは喜ばしいことだ。世界遺産に登録されれば、保存対策もより万全になることが期待できる。

というわけで、日本養蚕業界の慶事でもある今回のニュースにちなんで、今日は大日本蚕糸会の有功章を紹介しよう。
大日本蚕糸会の有功章は、1~5等まである。やはり1等はレアで、ほとんど見ることができない。
どのクラスもデザインや大きさはほぼ同じ。
上部のピンの付いた部分は、絹糸の束、中央には桑の枝を手にした養蚕の女神がいて、それを繭玉と桑の葉が囲んでいる。さらに一番外側には白いカイコガが取りまく。養蚕のシンボルがてんこ盛りである。

1~5等の階級によって違うのは、実はこの蛾の頭数だけなのだ。5等は4頭、4等は5頭、3等は6頭、2等は7頭ときて、最上級の1等は8頭と、等級がひとつ上がる毎に1頭ずつ増えていくのがおもしろい。

大日本蚕糸会の有功章は、様々なメーカーで作られているようだ。この1等有功章は、箱の蓋裏に「U.SUZUKI MEDAL MAKER」の文字が押してあり、大日本徽章商会の製作になる。この他の等級では、手元にあるなかでは、安藤七宝店や、東洋徽章製作所などもある。これは、等級によってメーカーが異なるのではなく、作られた時代によるのだろう。

実をいうと、大日本蚕糸会の有功章1~5等のうち、まだ2等だけが入手できていない。3~5等は比較的見かけるのだが、1,2等はほとんど見かけることがないのだ。うーむ、ぜひ揃えてみたいものだが・・・
なお、紛らわしいことに、大日本蚕糸会には有功章のほか、功績章というのもある。メダル自体は有功章と功績章では大きく異なるので見間違えることはないが、表彰対象などが違うのだろう。