徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 &TOKYOバッジ

過ぎてしまえば一体何だったのかという感じの舛添知事問題。犯してしまった失敗に、どう対処すべきか、政治家ならぬわれわれも大いに学ぶことの多かった事件であった。
桝添氏は、法の専門家でなく、リスクマネージメントの専門家の助言を仰ぐべきではなかったか。どうせ法では裁けないのは最初からわかっているのだから、法的解決を目指すのは意味がない。でも、権威ある司法専門家のお墨付きをもらえば間違いはないと考えたらしいが、結局命取りとなった。

後からなら何とも言える。しかしやはり彼の判断ミスである。怖いねえ。

さて、その舛添氏、辞任表明以来、いっさい口を閉ざして結局疑惑の数々がなんだったのかサッパリわからないまま、おそらく一連の騒動はこのまま終わってしまうのだろう。
先週21日、退庁セレモニーもなく、記者会見もなく、逃げるように都庁を去った。さすがに少し、私も哀れを催したものだ。

その画像。
イメージ 1

ようやく決まった2020東京オリンピックエンブレムの幟の前を、立ち去る舛添前知事。厳しく前方を見つめる表情は、精一杯のプライドを張った姿にも見える。晴れのオリンピックを目前に、これ以下はないであろう最悪の最後である。

その胸元に、紫色のバッジが見えた。
それを見て、私は、ほう、と思った。

「&TOKYOバッジ」だ。
最後の時までこのバッジをつける。そこに彼の精一杯のプライドを見た気がした。

&TOKYO」とは、東京オリンピックエンブレム問題が勃発していた最中、東京ブランドを表現するロゴとして公表された。そのロゴ入りバッジである。
東京オリンピック成功を目指して、桝添知事肝いりのプロジェクトであったようだ。

なんのロゴかと言えば、次のとおりらしい。
「世界一の観光都市、東京へ。
伝統と革新が交差しながら、
常に新しいスタイルを生み出すことで、
多様な楽しさを約束する街、東京。

&TOKYOはこうした東京の観光の魅力をブランドとして発進するロゴです。」

・・・わかるようなわからんような、これが新しい観光東京のシンボルとなるロゴらしい。まあ桝添氏曰く、「これは文字そのものだから著作権違反には当たらない」とのことだったが、やっぱりこれに似たロゴがあったらしく、ニュースでは多少取り上げられたりもしたが、みんなイイカゲン飽きたのかさほど騒ぎにはならなかったようだ。

このバッジを桝添氏は胸につけ続けた。
都庁職員バッジでもなく、この&TOKYOバッジだけを。
しかし私は気がついていた。テレビに映るたび日によって桝添氏のつけるバッジの色が違うのである。

イメージ 2

6月15日、東京都議会の本会議で、舛添氏の辞職提案が提出された、その時の画像である。
こちらのバッジは赤っぽい色に見える。

つまり、最後の登庁日となった21日にも、舛添氏はおそらく、ランダムにか意図したかは不明だが、この色のバッジを選んで服につけ、最後の職場に向かったのである。
うーむ・・・

で、私はこのバッジに俄然興味がわき、なんとか手に入れようとしたところ、先日この2色だけはなんとかゲットできた。都庁などでも配付していたらしいが、詳細は不明である。
舛添知事の下、始まった&TOKYOプロジェクト。しかし、桝添氏がPRのためであろう、常に身につけ続けた結果、周知はされたが、逆に桝添色が強くなってしまい、次の知事はこのロゴの使用をためらうのではないかという気もする。少なくとも、あれほど&TOKYOバッジを使い続けることはないであろう。
ヘタをすれば、このバッジも、桝添氏と同様にこのまま退場となりかねない
だからこそ、早めに手に入れておきたかったということもある(いつものことながら物好きで・・・)。

イメージ 3

こちらが現物。おそらくニセモノも何もないであろう。
直径は20mm。見てのとおり、なにも説明の余地はない。明快なロゴをコンセプトにしたバッジらしく、ツクリもデザインもこれ以上ないほどシンプルである。

なお、この色は、オレンジ色と紫色ではない。

都庁サイトによれば、
「「& TOKYO」は、「東京のブランディング戦略」で定めた、5つの東京独自の価値を5色で表現しました。伝統色を用いることで、伝統と革新が融合する東京の歴史と多様性を表現しています。」

その5色とはつぎの5つ。

Unique=茜色(あかねいろ)
独自の伝統や文化の共存・集積をあらわす価値「Unique」は、日本らしい伝統色「茜色」で表現します。
Excellent=藤色(ふじいろ)
洗練された高いクオリティーを示す価値「Excellent」は、気品ある「藤色」で表現します。
Exciting=支子色(くちなしいろ)
常に活力のある都市としての価値「Exciting」は、気分を明るくする「支子色」で表現します。
Delight=松葉色(まつばいろ)
おもてなしの心や誠実さを示す価値「Delight」は、安らぎや調和をあらわす「松葉色」で表現します。
Comfort=縹色(はなだいろ)
安心・正確・便利という価値「Comfort」は、信頼や冷静さを感じさせる「縹色」で表現します。

つまりこの2つのバッジは、茜色と藤色ということになるらしい。
ふーむ、それぞれの色に花言葉よろしく意味がつけられているのか。

まてよ、ま舛添氏が最後につけていたのは、「藤色=Excellent」のバッジだったのか。
洗練されたクオリティー、気品。

私は、ふと想像したのである。
もし彼が、精一杯のプライドを表現するために、最後にこのバッジを選んだとしたら。世間の不当なバッシングに屈しない自分のExcellentな有り様を示すつもりでこのバッジを・・・。
いやいや、考えすぎ考えすぎ・・・。