徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 伝統工芸士之章(士業バッジ)

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(伝統マーク)

たまに工芸品に、共通のシールがついているのを見かけることがある。「伝統マーク」呼ばれているらしいが、伝統的工芸品産業振興協会の定めたシンボルマークである。
調べてみたら、なんとあの1964年東京オリンピックのロゴをデザインした亀倉雄策の作品である。言われてみれば、なんとなく納得である。

私はけっこう伝統工芸の世界が好きで、テレビなどでやっていると昔から好んで見ている(ただしあまり買ったりはしないが)。
ああいう職人になりたかったなあ・・・などと妄想したりもする。
まあ現実には職人への道は険しく、なれてもやはり経営的に厳しかったりするのが現状で、そのため後継者不足や資金難で先細りしている業種も多い。やはり好きだけではやっていけない世界である。

そんな伝統工芸の担い手を支援するために、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(昭和49年制定)では、「伝統的工芸品産業振興協会」の設立(同法第23条)や、その業務として「熟練した従業員者の認定を行うこと」(同法第24条8号)を定めている。

こうして定められた「伝統工芸士」のバッジがこれである。
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モダンでシャープな雰囲気と、日本の伝統的「江戸文字」風レタリングがマッチしていてなかなかいい、と一目見て思った。
色を施すのではなく、2種類の金属を別パーツで組み合わせて作ったところが巧みだ。正方形と文字の直線的フォルムが、無機質な金属の肌色によくマッチして好ましい。
亀倉雄策による元のデザインの力もあろうが、これをバッジの形状にうまく落とし込んだデザイナーの力量もなかなかのものではないか。
正直、士業バッジには権威感ばかり盛り込まれてダサイのも少なくない(特に公認会計士バッジはひどいと思います)。
個人的好みの問題もあろうけど・・・

士業バッジを手にするには、その有資格者となるため試験というハードルを超えねばならない。伝統工芸士の試験とは、どのくらいの難易度なのであろうか。
それに、バッジを手にしてみると、その希少性がどのくらいのものか、コレクターとしては気になるところだ。一体どのくらいの数、このバッジは世に存在しているのだろう?

調べてみれば、認定試験を行う「伝統的工芸品産業振興協会」の公式サイトにすべて載っている。
平成27年度事業実績」を見ると、伝統工芸士の登録者数は、平成27年度現在、全国で7,476名であった。
そして、平成27年度の認定試験では、受験者117名中、合格者は95名とある。
単純に見ると合格率自体は高い。

しかし、実は受験資格自体のハードルが異様に高いのだ。
事業報告では、「従事年数12年以上の技術者を対象に試験を実施し、合格者の認定登録を行った。」とある。
12年もの実務経験を求めるあたり、さすが伝統工芸の世界である。

というわけで、当初抱いた私の疑問の答えは、「合格率自体は高いが、合格者は年100人もいない」ということで、それなりの希少性は認めてもよさそうである。
まあアイテムの希少性よりも、伝統工芸という特殊な世界に関するバッジということで、ユニークな存在であることは間違いない。

【関連の既出項目】
公認会計士バッジ