徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 修養団「愛と汗」帽章

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何だろうなあこれは・・・と入手した当時は首をひねったものだ。いきなり見て何のことかわかりますかこれ?

愛と汗」。それもいきなりデカデカと、これだけ。

怪しい響きだな・・・と第一印象はまず怪訝に思ったものの、しっかりした七宝仕上げのきちんと一品で、くだらない冗談グッズとは見えない。バッジというより、裏足のツクリからし帽章であるらしい。いつ頃のものかはわからないが、それなりの時代はありそうだ。

しかし所詮は一山いくらで買ったバッジの山にたまたま交じっていた一品に過ぎず、長らく存在を忘れていたものだ。

その後、偶然「修養団」なる組織と、その「愛汗実践運動」というキーワードが目に入った。

修養団は、現在も活動している公益財団法人である。公式サイトによると、次のように紹介されている。

SYD(公益財団法人修養団は、人生の充実を願い、心を磨き、潤いのある家庭や地域社会、職場を作ろうとする人たちの集まりです。1906年明治39年)2月11日に、東京府師範学校(現在の東京学芸大学)に在学中の蓮沼門三(1882~1980)を中心とする学生達によって創立されました。

平成23年3月22日には内閣総理大臣より「公益財団法人修養団」として、認定を受けた社会教育団体です。2018年2月に創立112周年を迎えました。

“愛と汗”の精神を理念とし、世界の福祉と平和に寄与することを目的として、「心の教育」一筋に青少年の健全育成を中心としたさまざまな活動をおこなってまいりました。

今、みんなの幸せを願う『幸せの種まき運動』を全国的に展開し、各地(国内外)で多彩な活動が展開されています。

なるほど、どうもアタリのようだ。しかし、「人生の充実を願い、心を磨き云々」という公式サイトの説明が全くピンと来なかったので、少し調べてみることにした。

大正14年刊「建国の精神と修養団の使命」(平沼騏一郎)なる小冊子には、修養団設立について、次のように書かれている。

 主幹は、青山師範在学中社会の風潮を嘆き、国家を盛んにするには国民精神を剛健にして七千万人総親和総努力の善風を作興せねばならぬ事を痛感し、流汗鍛錬、同胞相愛の二大主義に基き、同志相連携して、各自の修養をはかり、社会の風況を改め、皇国の進運に貢献せん事を念願して、同志を糾合して、大に校風改善の運動を起こされました。

(注:主幹とは、創設者の蓮沼門三のこと)

修養団の二大主義」は、「同胞相愛、流汗鍛錬」である。

人よ醒めよ、醒めて愛に帰れ、愛なき人生は暗黒なり。

共に祈りつつ、すべての人と親しめ。

我が住む郷に、一人の争ふものものなき迄に。

 

人よ起てよ、起ちて汗に帰れ、汗なき社会は堕落なり。

共に祈りつつ、すべての人と働け。

我が住む里に、一人の怠るものもなき迄に。

「愛と汗」とは、まさに「同胞相愛、流汗鍛錬」という修養団の教義のシンボルなのであった。これがわかって、私は大いにすっきりした。

現在では「SYD」と称しているようだが(創価学会の「SGI」みたいだ)、「修養団」といった方がそれっぽくていい気がするな。

それと、帽章を作るくらいだから、以前は制服みたいなものがあったのかもしれない。