徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 東京オリンピックバッジ(1964年)

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あけましておめでとうございます。

元旦から晴天で暖かい日が続いている。今年は例年になく長めの冬休みで、私は平和を満喫していた。平和なのはたぶん明日までだけど。

昨年のNHK大河ドラマ「いだてん」は、歴代最低の視聴率だったらしいが、どうも解せない。私はレコーダーに撮りためながら結局ほぼ全編見た。予想以上におもしろかったからである。なんでこんなに視聴率が低いのか、本当に不思議だ。確かに大河ドラマとしては多少変則的な作品であったかもしれず、それが従来の大河ファン離れにつながったという分析もあるようだ。しかし、視聴者はその程度の変化にも対応できないものか。戦国と幕末維新やってりゃそれでいいのか。信長秀吉が出てくりゃ満足か。ワンパターンが好きならいっそ水戸黄門でも見ていればよいのだ。

「いだてん」は、特に最終回、1964年東京オリンピック大会がついに開幕を迎え、まさに集大成という感じで見ごたえがあったし、これまで見ててよかったという満足感があった。ここまで波乱万丈、紆余曲折を経て迎えた開幕した大会(特に開会式のあたり)は、ややドキュメンタリーチックに描かれ、一段とこだわりを感じさせた。

さて、さすがNHKが威信をかけて(製作費をかけて)作成しているだけあって、感心したのは「いだてん」の時代考証だ。時代劇とは違って、まだ多くの体験者が健在という作品であり、考証には気を使ったであろうと思う。

具体的に言おう。作品中、オリンピック担当大臣として登場する河野一郎昭和7年第18回衆議院選挙で初当選を果たして登場するシーンでは、ちゃんと当時の型の議員バッジを襟につけていた。間違っても臙脂色の座布団付きバッジなどではない。

もちろん戦後のシーンでは、ちゃんと座布団付きバッジになっていた。

議員記章についてはなにぶんモノが小さいだけにはっきりは見えなかったが、なんとなくレプリカっぽい感じを受けたけど。 

また、IOC総会などのシーンでは、委員たちがつけているリボン付きバッジがたびたび登場した。あれもおそらく正しい(これについては詳しくないのであまり検証できてないが)。

さらに最終回では、登場人物たちがみな胸にリボン付きの公式の大会バッジをつけて現れた。組織委員会、メディア、選手、その他関係者バッジが幾種類も登場し、私は身を乗り出すようにそれを見ていた。あれ本物だろうか?それともドラマ用小道具として作成したのだろうか?どちらもありそうだが、複製だとするとかなり良くできている。画面で見る限り、本物との違いは全く分からない。

というわけで、私が感心していた「いだてんにおける時代考証」とは、つまり「バッジ考証」のことである。

 

ともあれあのリボン付き大会バッジ、基本的な形状は共通しているが、リボンの色やバッジ下部の色と文字が異なり、遠目にも違いが分かるようになっている。

さて、私の手元にあるのがその一種で、「XVIII OLYMPIAD」とあるバッジだ。これは比較的数が多くよく目にするのでサンプルとして入手したもの。実をいうと正直コイツの正体が一番よくわからない。リボンが無地なことなどから、一般的なものであることは推測されるがどういう人たちがつけたものなのか、さて・・・

もう一点、こちらはオリンピック博物館で見つけた一品。

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O.O.C. PRESIDENT」とは、オリンピック組織委員会委員長のことであろう。日の丸の周囲に5色の飾りがつき、リボンには2本線。高位のバッジであることは一目瞭然。さすが博物館である。リボンに痛みが見られるものの、これ、買おうとしたらたぶん大変な金額になる。因みに、現在の組織委員会は「JOC」だが当時は「OOC」であったことを私が知ったのも、これらのバッジからである。

まあクラスの差こそあれ、基本的なツクリや形状はほぼ一緒なので、手元のコレクションをよく見てみよう。なかなか凝ったバッジなのである。

金属部は3つのパーツからなっており、最も大きな金色の日の丸のパーツに「TOKYO 1964」と「XVIII OLYMPIAD」(これは各種ある)がリベット止めされている。

日の丸は、オリンピックロゴ(亀倉雄策作)を生かしたデザインで、金メッキがほどこされ、よく見ると日の丸部分は中央がやや膨らみ、その周りは槌目仕上げとなっている。日の丸の「丸」を一層強調するツクリと思われる。

その下の「TOKYO 1964」は青銅錆仕上げ、その下の種類を示すパーツは種類によって異なる色の七宝仕上げ。

裏面には「オリンピック東京大会」の文字がある。これはどの種類もたぶん共通だろう。

このバッジは、グラフィックデザイナー河野鷹思のデザインとのことである。

 

今年はいよいよオリンピックイヤー。あと半年余りで開幕する。なんか信じられない気分だ。まあ今大会ではどんなバッジが登場するか、当ブログもネタが増えそうで楽しみだ。