徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 東京防災指導協会徽章

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さっき帰ってきたところなのだが、なんだかいまだに胸中の動揺が収まらない。

私にとっては珍しく、今夜仕事帰りにちょっと映画に寄ってきたのだ。レイトショー割引というものがあるのを初めて知ったが、けっこう便利かも。
さて、映画は「日本沈没」。高校時代、小松左京の原作に圧倒された体験のある私にとって、製作発表のニュースを聞いて以来、ずっと気になっていた映画だったのだ。

ところが・・・もう勘弁してくださいよこれ!!
動揺が収まらないので、ネタバレまで書いてしまう。

原作では、大規模な地殻変動により結局日本列島はすべて海中に没し(この辺のSF考証も惹きこまれる部分だ)、難民となった日本人はすべて外国へ分散して移住することになる。
普段我々は意識しないが、国土を失うということはどういうことなのか。果して母たる国土を失っても、日本人は日本人たり得るのか。流浪の民となることで、日本人は果してどうなっていくのか。
これが、この小説のひとつの大きなテーマである。

しかし、この映画版「日本沈没」では、なんと主人公(SMAPの草薙)の英雄的行動により、結局日本は全面沈没を免れてしまうのである(一部は沈没するし、国土はズタズタになるのだが)!

私は、見ていて途中からイヤな予感がしていたのだが、不幸にもその予感は的中することとなる。
後半はすっかり「ストップ・ザ・日本沈没大作戦」が展開。そして、主人公の英雄的行動により、その死と引き替えに日本は救われる。さあまたがんばって素晴らしい国を作っていきましょう。メデタシメデタシ・・・
オイちょっと待てや!違うだろそれ!!
(重要な注:もちろん、原作にはこんな作戦の話など一切ない。日本列島は完全に消滅するのである。)

まるでハリウッド映画「アルマゲドン」まがいのストーリーに、思わず頭を抱えた。
しかも最期の首相代理?が「すでに海外に移った人もいつか帰れる日が来るだろう」などと演説するのである。物語のテーマもなにもあったもんじゃない。ここまで主要ストーリーをねじ曲げてよいのだろうかと見ているこっちが不安になる。
この映画の構想者は、「日本沈没」を映画化したかったんじゃなくて、日本版「アルマゲンドン」を作りたかったのだろうとしか思えない。

実は、この作品は1973年に松竹で映画化されたことがあって、私はテレビ放映で見たことがあるのだが、こちらの「日本沈没」は、ちゃんと沈没する。主役の男女は離ればなれになり、かたやシベリヤへ、かたや(確か)オーストラリアに、うつろな表情で送られていくシーンで終わったのを記憶している。

もっともこの映画もそれなりにはヒットしたらしいが、あまりよい出来であったとは思わない。
で、今年はついにそのリベンジ、今度こそ・・・と期待していったのが上記のアリサマ。
日本沈没」を見に行ったつもりが、「日本不沈没」だったなんて・・・

うーん、小松左京の原作の映画って、ハズレが多いのだろうか。国産SF大作映画と大々的に宣伝されていた「さよならジュピター」は、期待して見に行ったSFファンに大ダメージを与え、いまだに彼らのトラウマになっているとされる。

なんといっても、最も重要な物語のテーマを、陳腐な英雄主義物語に書き換えてしまっている点は、どう甘く点を付けても救いようがないが、その他もなんだか辻褄の合わないことが目に付く。
私は途中から、映画に「楽しく騙されてあげよう」という気持ちを完全に失い、批判的な目でしか見れなくなってしまった。そして私の心臓にトドメを刺したあのオチ。

強いてほめる点を上げると、やっぱり70年代とは特撮技術に天と地の差があり、避難民がなすすべもなく津波に飲み込まれ山崩れに流され、噴火や地震で街がボロボロに破壊されていく様子は、さすがに迫力がある。

まあ、防災意識を高めるにはよい映画だったかも知れない。地震のシーンなどは、見ていてけっこう怖い。いざというとき身を守るのは事前の準備と冷静な対応でしかないことを認識するいいチャンスだ。
というわけで、今日のバッジの画像は、財団法人東京防災指導協会の徽章(テレビ局じゃありません)。

どんな協会なのかというと、ネットで調べたところ、
「財団法人東京防災指導協会は、防火防災の一翼を担う公益法人として、消防法に定める各種講習会のほか, 資格取得のための各種受験準備講習、災害予防についての調査研究等の業務を行っています。
 また、消防博物館、 防災館の運営管理を通じて防火防災思想や知識、技術の普及啓発に努めるとともに、地域に根付いた女性防火組織や消防少年団等自主防災組織の育成指導等、防火防災の全域にわたる各事業を展開しています。」
なのだそうだ。よく見ると確かに消防のマークらしきデザインも見える。

レイトショー料金1200円に1000円引き券を使ったので実際の負担は200円。まあ200円ならよしとしようじゃないか。
・・・そうとでも思わないことには、今夜眠れそうもなくなるしね。