徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 東京都卸売市場仲買人章

イメージ 1

今マスコミを騒がせている豊洲市場移転問題。移転地での土壌に基準を超える汚染物質が検出されたことから、土壌汚染対策法(通称「土対法」)で規定されている汚染土壌の除去と、汚染のない土壌による埋め戻し工事が行われたのだが、実は主要建物の地下には埋め戻しが行われていなかったことが発覚。
11月に予定されていた築地市場から豊洲市場への移転スケジュールは完全に頓挫。東京オリンピックに向けた道路工事計画も先が見通せなくなってしまった。
東京都議会と対立していた小池知事としてはむしろ一本取った形で、さらにこの問題を拡大させ続けること必至・・・という情勢である。

というわけで、今日紹介する一枚はこれ。「東京都中央卸売市場の仲買人章」である。

現在東京には都が設置している中央卸売市場が11か所ある。築地市場もそのひとつで、特に水産物の取扱量は日本最大の市場である。
このバッジは、中央卸売市場の仲買人(卸と小売の取引の仲介を行う業者)のいわばIDバッジである。
表面には「東京都中央卸売市場」とあり、さらに中央に仲買人の所属を示す「佃輝支店」とある。
裏面には「本場仲買人章」とあり、さらに4ケタのシリアルナンバーが刻印されている。

それにしても、このバッジには驚いた。
なにしろ必要以上にでかくてゴツイ!のである。
小判型をしており、61×41mmという大きさもすごいが、ツクリも分厚くて重い。
バッジの周囲は、海の幸をイメージしてか、波模様が白い七宝で彩られている。中央上部には東京都の都章が金色の別パーツで取り付けられている。
中央の「佃輝支店」は、仲買人の所属する店名なのだろうが、よく見るとこの部分だけは後から手彫りされ、そこに黒の七宝が施されている。なかなか手の込んだものである。
いつ頃のものかはわからないのは残念である。
中央卸売市場は、公式サイトの年表によれば、昭和10年に始まるらしいので戦前のモノの可能性もあるが、不明である。

材質こそ銅に銀メッキ仕上げながら、この大きさとツクリは、まるで一種の勲章のような権威性を感じさせる。新品状態であればさらに目立つバッジであったろう。市場において、仲買人の地位がそれほど高かったとも思えないのだが、これを胸に市場を闊歩した彼らの意気込みを感じるようなバッジである。時代を感じるなあ。