徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 征清従軍記念章

イメージ 1

そうか、今年は日清戦争開戦120周年になるのか、と気がついた(1884年明治27年7月開戦)。
朝鮮半島の動乱をキッカケに、朝鮮半島への影響力を巡って日本と清国の対立が先鋭化、ついに軍事衝突に至った。新生日本にとって、初めての本格的な対外戦争であった。
日本と戦った清国もロシアも、革命によって滅びた。が、勝利した日本とて結局は無事でいられなかったのである。これは歴史の皮肉か、必然か。

 

さて、今日の一枚は、日清戦争の勝利記念章である。
非常に色鮮やかな七宝で彩られているのが目を惹く。中央には、日本のシンボルということなのであろう、旭日勲章が描かれ、その周囲を、こちらは清国の象徴ということになるのか、龍が取りまいている。実は裏面も鮮やかな七宝が施されていて、実に美しい一枚である。表面は、まるで鏡のように平らに磨き上げられている。
裏面には、「征清従軍紀念 山吉田村特別歓迎会」とある。
どうやら村から出征していった兵士の帰還歓迎会で贈られたモノのようだ。

 

山吉田町とはどこか。
調べてみると、かつて愛知県にあった村らしい。現在では新城市編入されている。愛知県の最東部である。
このバッジ、製作所がどこかわからないのが惜しいのだが、愛知県といえば尾張七宝の本場。なるほど、鮮やかな七宝仕上げはずだ。もちろん推測に過ぎないが・・・。

 

注目したいのは、この留め金である。ボタンホールに引っかけてぶら下げられるようフック状になっている。このフックも、ちゃんと元と先では太さに差がつけられていて、うーむ、こういうところも仕事が丁寧だなあ。

 

多色を用いた七宝の美しさといい、どこか味わい深い龍の表情といい、磨き上げられた表面といい、留め金のツクリといい、120年前という時間を感じさせない見事さ。
すばらしい。