もうひとつ中国の抗日戦争期スローガンバッジを。
こちらはズバリ、「抗日救国」。
おもしろいのがデザインで、中華民国の国旗を背景に、山野に伏した兵士が銃を構えている。かぶっているのはドイツ軍のM35型ヘルメットか(ちなみにスターウォーズのダースベイダーがかぶっているのも、おそらくこのヘルメットが原型と思われる)。
よく見ると銃を持つ彼の左手には赤く「×」が描かれていて、おそらくはこれ、「名誉の戦傷」を表しているのだろう。兵士の腕は異様なまでに太く、彼が屈服を知らない頑強な兵士であることを強調している。
七宝による微妙な色分け(不透明・半透明)もなかなかいい味を醸し出している。
こうした中国のバッジを見るにつけ、日本のバッジには絶対に見られないセンスというものを感じる。
このように人物が描かれるものも少なくないが、どれもなんというかマンガチックな感じになっていて、期せずしてユーモラスな雰囲気を漂わせている。
どうも、こんなバッジには日本ではまずお目にかかることはできない。バッジを支える文化の違いというものに思いを馳せざるを得ない。