徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 佐渡旅行 ~トキと金山の島で、残骸と廃墟を巡る~

どこか国内旅行に出かけようと企画したものの、さてどこに行ったものやら。
どうせなら、普段行く機会のないところにしよう・・・と選んだのが新潟県佐渡島。まず仕事のついでで行くことはなさそうなところである。

佐渡といえば、私が思いつくのは、トキと金山、あとは日本海くらいなのだが、島に着いてまず向かったのがトキ保護センター。10年前に中国から送られたトキは、今や100羽以上に増えているのであった。
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(遠くからケージ内に飼育されているトキを観察できる。たくさんいる。)

ここでは、実際に飼育されているトキはもちろん、トキに関する様々な資料を見ることができる。
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これが日本の最後のトキ、「キン」の剥製である。幼鳥の時に保護され、35年間生きた。晩年の「キン」は、高齢のため目も見えなくなり、ただじっとしているだけだったという。ところが、2003年のある日、突然力強く羽ばたいて飛翔し、頭部を強打して死んだのである。
一体なにがあったのか、だれも知るよしはないが、この日本最後のトキの死に様には、多くの人が感慨を催させられた。私も、この記事を新聞で読んで、なぜだかふと、悲しみを覚えたものだ。

結論からいうと、野生のトキを飼育下において繁殖させようという試みは、日本では失敗に終わったのである。「キン」も、飼育時にはなんども営巣活動を行うなど繁殖のチャンスがありながら、結局は2世を生ませることはできなかったのである。今中国産トキがこれだけ増えまくっているのを見ると、もっと早くに何とかならなかったかという思いが、今更ながらつのる。
なんたって、今やセンターで産まれるトキは、もはや名前もつけられずナンバーだけしかない(名前がつけられたのは2001年まで。間に合わなくなってきたのであろう)。

さて、次に向かったのが、佐渡金山」
トキ保護センターよりずっと観光客が多いのであった。やっぱり金山の方が有名なんだねえ。
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(右は佐渡金山のシンボル、道遊の割戸。路頭鉱脈を掘り採った跡で、山が二つに割れている。左は廃墟となった貯鉱所。)

ところが、やっぱり行ってみなければ分からないことはあるものだ。
佐渡金山というと、江戸幕府の直轄領として金銀の採掘が行われていたことがあまりに有名で、それ以後の話はあまり知られていない。実は、平成元年に閉山されるまで、金の採掘量が一番多かったのは昭和時代だったのである。

行ってみて、まず気づくのが、鉱山関係遺産の多さで、その多くが昭和初期に建てられたものである。近代遺産ってカッコイイよなーといつも思っている私のこと、江戸時代の遺跡よりもこっちの方が正直おもしろかったのである。バシバシ写真を撮りまくっていたら、いつの間にか廃墟写真集ができあがってしまった。
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(大立竪坑。日本最初の様式竪坑のやぐら。やぐらは昭和13年建設。上部に三菱マークが見える。)
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(青化精錬所・浮遊選鉱場跡)
観光客が多く訪れる坑道以外のこれらの鉱業遺産にはほとんど訪れる観光客もなく、おかげでつかの間の廃墟探索の楽しみを味わった。産業遺産好き、あるいは廃墟マニアの人には、かなりオススメのスポットである。崩れかかった灰色のコンクリートや鉄さびを心ゆくまで堪能できること請け合いだ。

とにかく、金の採掘・精錬というのがとても手間のかかるものだということはよくわかった。1トンの岩石から取れる金の量は、わずかに5g程度。約13gの金小判を作るには、約3tの岩石が必要となる。
機械化される前は、鉱脈を探してアリの巣のような坑道を岩盤に掘り抜き、果てしなく湧き出す水を人力でくみ出し、採掘した岩石を砕いて泥状にし、何度も何度も水で洗い流して不純物を除き、さらに鉛を用いて精製するのである。造幣過程は、そのさらに先である。
どれだけ大変か、考えただけでも気が遠くなる。

鉱脈を掘って断ち割られた山、無数に掘られた坑道、そして施設の残骸を見て回っていると、まさに「つわものどもが夢の跡」という感慨がわいてくるのだ。ここから出る金が、いかに人々を惹きつけ狂奔させてきたことか。
だが、それもこれも過去の話。閉山となった今、観光施設として活用されている他は、すべてが廃墟となっている。

佐渡金山遺跡も世界遺産登録をねらっているそうだが、個人的にはがんばってほしいと思う。まあなかなか難しい部分もあるだろうが・・・。

と、ここで終わってしまっては、ただの旅行記ブログ。ここはバッジ・ブログなので、最後にオチを。
最後に、ホテルの土産物売り場で見つけたおみやげ用バッジ。
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えー、見てのとおり、トキのバッジです。もちろん金色(笑)。