徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大日本国家社会党労働委員会之章

大日本国家社会党労働委員会之章

 

戦前のプロレタリア政党バッジについてこれまで何点か紹介してきたが、同時期の右翼系政党について紹介しよう。

国家社会主義、というとナチスが有名だが、日本にもこれに影響を受けた団体が存在した。日本では、北一輝をはじめ様々な思想家運動家が国家社会主義を展開したのである。

 

画像のバッジは、「大日本国家社会党労働委員会之章」とある。

大日本国家社会党、というのは、1934年に思想家である石川準十郎が設立した右翼政党である。

このバッジ、一見してナチスの影響が強くうかがえる。

ナチスドイツの鷲の国章、赤白黒のコントラスト、鉤十字に対応した黒四角?など、非常にわかりやすいデザインだ。

ここまでナチスインスパイヤされていた政治団体が日本にあったかと思うと感慨深いものがある。

岩手県出身の石川準十郎(1899~1980)は、早稲田大学マルクス主義の研究を研究し、その批判的立場から国家社会主義へ傾倒していく。1931年に石川は、社会民衆党赤松克麿津久井龍雄らで日本社会主義研究所を結成した。なお、赤松は1932年に「日本国家社会党」を結党したが、これと石川の「大日本国家社会党」は別物なので大変紛らわしい(日本国家社会党のほうが有名だ)。

ところで、このバッジは「大日本国家社会党労働委員会之章」とあって、「労働委員会」とは何ぞや、と思うところだ。大日本国家社会党の支持団体として、大日本労働組合協議会という労働組合が組織されており、その関係のバッジと思われる。

 

大日本国家社会党は、その他のプロレタリア政党と同様、短命であった。1934年に設立後、わずか3年で解党した(1937年)。マルクス主義の影響を強く受けた日本の国家社会主義運動は、戦時色が強くなってくると弱体化していったのである。