徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大正大礼使徽章(甲種)

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今日は一日雨だったので、うちで昼食をとりながらテレビをつけたら、ちょうどNHKで即位の礼正殿の儀の中継をやっていたので見ていた。せっかくの儀式が、大雨に祟られて大変そうだった。

外国人の目からすれば、古式ゆかしい、異国情緒たっぷりの儀式と映ったことだろう。しかし実際には現在の形式は、明治期に創設された「伝統」であって、我々日本人はもう少しこの儀式についてその背景に思いを致しながら見るべきであろう。明治12年に登極令によって諸儀式の内容が定められてから、わずか130年の歴史に過ぎない。

だがそれだからと言って、それを否定的に捉えることはないとも思う。日本が独立した国民国家として誕生するためには、日本の独自性がどうしても必要だったのだ。「伝統的」な宮中行事や、国家神道等を確立するために費やされたエネルギーを思うと、私などは目がくらみそうになる。

それはともかく、今日は即位の礼に因んで、大正大礼職員徽章を紹介しよう。大正4年に挙行された即位の礼。「大礼使」とは、即位の礼という国家的大イベント仕切るための特別職員で、各関係機関の人間が当たっていたようである。

国家の一大慶事にふさわしく華やかで立派な徽章だ。縦50mm横40mmという堂々たる大きさ。銀製で、菊花紋や桐紋、中央に大きく記された「大礼使」の文字には金メッキが施され、両側は桜とカンキツの実が七宝で彩られている。

これはもちろん京都御所紫宸殿の南庭にある「左近の桜右近の橘」を表現している。桜花は白とピンクの七宝のぼかしが入っていて、橘の黄色との対比が美しい。

大正大礼徽章には甲種と乙種があり、これは甲種のほうのはずだが、手元に資料がなくちょっと自信がない。