1995年1月17日、阪神淡路大震災の記憶は、直接体験したわけではない私にもまだ鮮明に残っている。関西地方の大地震のリスクは高くない、というのが何となく一般的な感覚としてあったと思うが、この列島の上で暮らす以上、地震のリスクがない場所などないのだと思い知らされた。
それから昨日でもう25年にもなるのかとニュースを見て思った。今日はそれにちなんで神戸の歴史に関わる一品を紹介しよう。
赤と紫の組みひもに桜花型のバッジである。中央には錨マーク。この全体のツクリからしていかにも古い。意匠だけ見ると、海軍関係?とも思うが、裏面には「神戸市開港三十年紀念会」の文字がある。
「神戸開港 150年のあゆみ」(神戸開港150年記念事業実行委員会、2017年)によると、神戸の開港は1868年1月1日で、30周年記念式典は、1898年(明治31年)5月7日に開催となっている。このバッジは、参加者来賓等に配布されたものと思われる。
簡易なツクリながら、しっかりしたバッジである。保存状態も極めて良く、120年以上前の製品には見えない。
状態がいいのはオリジナルの小箱の中に収められていたからで、その箱の裏面には、「大日本記章 金銀木杯類 製造商会 大阪〇〇(2字不明)博労町 銀眼堂」という印が押してある。
はて、大阪の銀眼堂・・・?関西の徽章メーカーには詳しくないこともあって、見覚えのないメーカーである。これも調べてみると、なんと現存の徽章メーカーではないか。店舗サイトのURLのつづりからして「ぎんがんどう」と読むらしい。
「創業明治10年」とあるから、徽章業界にしてはかなりの老舗だ。コレクターとして無知を恥じるばかりである。