徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 明治のバッジ・明治講医会会員章

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総じて明治時代の日本の徽章は、ツクリがおとなしい。小型でデザインは地味、彫りも浅いものが多い。パッと目をひく派手さはないものの、よく見ているとなかなか味わい深い作品もあって興味深い。

今日の一枚は、私の明治バッジコレクションから引っ張り出してきたモノ。明治講医会会員章である。
このバッジ、実は会員証がついているのが貴重だ。
第四二七九号 明治講医会々員章
一 本会ニ関スル一切ノ集会ニハ必ズ此会員証ヲ携帯スベシ
一 此会員証ハ他人ニ貸与スルヲ許サズ
明治三三年六月十四日

というわけで、1899年に発行された113年前のモノだ。リボンや表面のメッキもきれいに残っており、保存状態は大変によい。あまり使用されなかったのだと思われる。裏面は無地である。
そもそも明治講医会というのがどういう団体なのかよくわからないが、ネットで検索すると、ここを発行元とする医学出版物の名前がぞろぞろ引っかかってくる。

バッジは、「明治講医会会員章」の篆書体字が周囲を囲み、中央には会のシンボルと思われるが、なんと胎児が描かれている。胎児といっても、まだヒトの形をなしていないごく発生初期の状態。受精数週間後、わずか数ミリのヒトの姿である。まだ長い尾が生えている。
こんな状態から成長して、赤ちゃんとして生まれてきて、やがては同じニンゲンに育っていくのだから、生命の神秘というほかない。

その神秘の象徴として、こんなシンボルが採用されたのであろう。現代ではあんまり共感されにくいセンスだとは思うけど・・・。この辺のセンスも、明治の徽章らしさともいえるかもしれない。