徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 昭和10年健康優良児表彰メダル

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そういえば、昔「健康優良児」という言葉があった。
体が大きくて運動能力に優れ、学力が高くて品行方正な子供が選ばれる・・・ということはたぶん自分にはほとんど縁のない世界の話だろうというくらいのイメージしかなかったが、昭和53年を最後に、この表彰事業は廃止されたらしい(昭和18~23年は中断)。知らなかったね。

詳しい内容を知っているかはともかく、「健康優良児」という言葉はいまだに世間に広く浸透している。
昭和5年に始まった表彰事業で、朝日新聞が主催、文部省が後援していた。まあ時代も時代のこと、子供の健康増進というより、ナチス的優生主義のニオイの方が気になってしまうのだがそれはそれ。

実際には、えらく大がかりな審査が行われ、全国の小学6年生を対象に、まず各小学校で男女1人ずつが選抜され、次に各都道府県でに男女約3名ずつにしぼられ、最後に中央審査が行われた。
この結果、男女1人ずつが最高賞の「日本一健康児童」となり、数十人がそれに準じる賞を受賞した。表彰式典では皇居で天皇皇后への面会まであったそうである。
戦後も長く続いたものの、そもそも体格は遺伝的要素が強く、有害な劣等感や過剰な優越感を与える、などの批判があり(もっともである)、徐々に参加する都道府県は減っていったのであった。

で、今日の一枚は、この健康優良児表彰メダルである。どの段階までいくともらえるモノなのかは不明である。この表彰事業は、「日本一の桃太郎探し」というキャッチもあったそうで、メダルに描かれているのも桃太郎である。
表には桃太郎の横顔と、「健康児童賞」「朝日新聞」「昭和10.6.25.西望」とある。さらに裏面には、「全日本健康優良児童表彰会 主催 朝日新聞 後援 文部省」。
「西望」というのは、もちろん彫刻家の北村西望のこと。なんとなく、原爆の像の表情に通じるものを感じるがどうだろうか。力強い造形はさすがで、何気なく見ていても、ふと目がとまる雰囲気を持っている。