徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本のうたごえ合唱団訪ソ記念バッジ(1964年)

イメージ 1

先日、久々に書店で新書のまとめ買いをした。仕事などに役立てるためというより、純粋に楽しみのために買った物ばかりで内容はてんでんばらばら。「歌う国民」(渡辺裕著、中公新書)もその中の一冊だ。
鉄道唱歌郵便貯金唱歌、卒業式の歌、校歌、うたごえ、そして現代までをたどるもう一つの近代史」。近代化を目指す日本において、歌もまた、「国民づくり」に欠かせない道具であった。しかし「上から押しつけられた歌」は、しだいに発展し、変容し、日本の社会に根付いていった。

・・・まだ読み切っていないのだが、私がこの本で少し気になるのは、「うたごえ運動」の部分。ある世代の人たちにとっては、「うたごえ」といえば、青春時代の思い出となって思い出深いものらしい。「歌声」ではなく、「うたごえ」である。

「うたごえ運動」というのは、本書によれば、「全国各地で企業の労働組合などを母体として合唱団が数多く作られ、合唱祭を開催するなどの様々な活動を展開した動き」、「全国組織のもとに統制された形で展開」した運動を指す。日本共産党文化政策に位置づけられており、同じ左派勢力でも日本共産党と仲の悪かった日本社会党系組織はうたごえ運動から離脱している。レパートリーも労働歌やロシア民謡などが多い。

画像のバッジは、うたごえ運動関連バッジで、「1964 日本のうたごえ」と表に書かれている。
指揮を執る女性が見えるが、これは指導者の関鑑子だろうか。背後には大勢の合唱団員、四隅には平和のハトが描かれている。裏面には、「1964 日本のうたごえ合唱団 訪ソ記念」と書かれている。実はこのバッジは国内ではなく、海外から買ったので、訪ソ記念に配られたモノの里帰り品ということになる。

今の若者にとっては、合唱や、ましてうたごえ運動などは、「ダサイ」と括られてしまいそうだが、あの当時は実に熱い芸術運動だったのだ。今じゃ想像できにくいけど。