徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

映画「007 ダイ・アナザー・デイ」(笑)

今日、テレビで映画「007ダイ・アナザー・デイの放映があった。ご存じジェームズ・ボンドシリーズの20作目。
この映画、公開当時(2002年)ちょっとした物議を醸した映画で、私も気になっていたので映画館に足を運ぶことこそなかったが、DVDが出てからレンタルで鑑賞したものだ。

そしたらこれが、本当にすごい映画だった(笑)。
まだご覧になっていない方は、 ぜひ見ることをオススメする(笑)。
私の受けた衝撃を、少しでも多くの人に共有してほしい(笑)。
もっとも、さっきこの映画のレビューを見ていたら一体何をどう見たものか、けっこう高評価をつけている人もいたりして、はからずも人類の多様性に感銘を受けてしまった・・・。

ストーリーも荒唐無稽を通り越した無茶苦茶さだが、細部もすさまじいの一言。そもそもこの映画に「考証」という概念は存在しない。ハリウッドって、こういう企画が平気で通っちゃうんだなあ。
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(いい加減にしてほしいステロタイプの例。キューバ人といえば葉巻かよ!しかもカストロそっくり・・・な映画中に登場するキューバ人。ちなみにキューバの街中、レトロなアメ車が走り回っている)

この映画の部隊は北朝鮮で、ムーン将軍(=金日成)が支配する軍事独裁国家ということになっている。ムーン将軍自身は、まあ悪役ながらそれなりに理性的で自制力のある人物として描かれていて、アメリカ人の北朝鮮観が伺われて興味深い。実は、彼の息子ザオ(=金正日ってこと?)こそ、野望に燃える真の悪役なのである。

さて、このムーン将軍というのがこちら。
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なんだこりゃ? コートの上に、こんなにベタベタ勲章を・・・しかも、なんでこんなに下級の勲章ばっかり?
軍服も階級もめちゃくちゃだが、ここはバッジブログらしく、彼の勲章・メダルに注目したい。

まず左胸。1級国旗勲章がひとつ、その下にはなぜか2級がなくて3級がふたつ、さらに祖国解放戦争勝利40周年記念勲章と、たぶん2級の自由独立勲章がひとつずつ
右胸はよく見えないが、労働勲章(?)と、軍功メダルがいくつか見える。

ちなみに、本物の北朝鮮の高級軍人(元帥クラス)はこのとおり。帽子も軍服も勲章のつけっぷりも全然違うのが分かる。
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なお、金日成がこのようにベタベタ勲章をつけた写真は確認できない。彼は勲章を与える側であり、せいぜい元帥メダルや共和国英雄メダル程度だと思う。

もうひとつムーン将軍画像。
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将軍(正確には大元帥)なのに星3つ襟章。なぜか自由独立勲章を喉下につけていて、なんなのこれ?
しかも、左胸につけているバッジは・・・この人、自分で自分の肖像バッジをつけてるのか!

最後に、邪悪な息子に裏切られ殺されるムーン将軍。
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むしり取られた自由独立勲章(2級か?)が、一瞬アップになる。
画像を見る限り、これホンモノですね・・・

自由独立勲章には、ネックオーダー、つまり首から提げるタイプのもあるのだが、これとは全然形が違うし、リボンも似ても似つかない。

おそらく、本当は元帥メダルをつけるところ、とりあえず適当になにか似たようなものをつけておこう、ということになったんじゃないかと想像する。元帥メダルの正確な形も分からなかったのかもしれない。しかし、アップシーンを入れるくらいなら、せめてレプリカでもう少しそれっぽいものを作ればいいんじゃないかとも思う。
考証の概念自体がない、としかやはり思えないのであった。

ちなみに、韓国でこの映画の不観運動まで起きたのは、ラストシーンで出てくる風景が後進国みたいだとか、仏教に対する冒涜とかいう理由だったと記憶する。そんなに気にしなくてもいいんじゃないかなあ、と私は思っていたのだが、実際見てみたらその気持ちはよく分かった(笑)。これじゃあねえ・・・。