徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 金正日勲章制定、金正恩バッジ製作開始?ニュース

ロケットを打ち上げたりなんだかんだとネタの尽きない北朝鮮で、当ブログとしては看過できないニュースがある。今さらながら紹介しておこう。

まず、金正日勲章の制定について。ほぼ1年前のニュース。

朝鮮新報のネット版記事(2012.2.12)「生誕70周年に際し政令発表、金正日勲章と賞を制定」によると、
金正日総書記の生誕70周年に際して、金正日勲章、金正日賞、金正日青年栄誉賞、金正日少年栄誉賞が制定された。
 これと関連する最高人民会議常任委員会政令が3日に発表された。
政令によると、金正日勲章は、金日成勲章と共に朝鮮の最高勲章である。金正日賞も、金日成賞と共に朝鮮の最高賞である。金正日青年栄誉賞は、金日成青年栄誉賞と共に朝鮮青年たちの最高賞で、金正日少年栄誉賞は、金日成少年栄誉賞と共に朝鮮青年たちの最高賞である。
(中略)
 金正日勲章は長さ67ミリ、幅65ミリで、金色の星の上に金色の帯で編み上げた稲の楕円形の中に総書記の太陽像(笑顔の肖像画)が納められている。勲章の上部には、朝鮮労働党の党マークが刻まれ、下部には朝鮮国旗がある。裏面には「金正日勲章」という文字と番号がある。
略章は横3ミリ、縦10ミリで、長方型の金色板の中心に星がある。

金正日勲章の制定を受けて、党・軍・政府幹部など162人への授与が決定したそうである。
記事には画像も掲載しているが、これは想像画なのだろうか?
金正日勲章の記事(画像付き)へのリンク(朝鮮新報)

記事を読んでも、画像をみても、肖像部分を除いて、まるっきり金日成勲章と同じ。ただし、長さが67mmと幅65mmより大きいのが多少気になるといえば気になるが。
金正日勲章だけではなく、同時に制定された金正日賞、金正日青年栄誉賞、金正日少年栄誉賞も、金日成のそれとまったく同じなのはなんなのだろう。此処にあるのは単なる想像画で、実際は違うのか。

もうひとつ気になるのは、金日成勲章と、新たな金正日勲章はどちらが上なのかという点だ。
勲章には序列というモノが、必ず決まっている。それによって、服に佩用する位置も決まる。通常は、より上位で、より胸の中央に近い場所に佩用する方が、ハイクラスの勲章となる。
この記事を読むと、「金正日勲章は、金日成勲章と共に朝鮮の最高勲章である」と書かれているのだが、まったく同列ということはあり得ない。胸につける際の位置で、順番が決まってしまうからだ。したがって、少なくとも運用上の順位は決まっているはずなのだ。
常識的に考えれば、元帥の「金正日」勲章が大元帥の「金日成」勲章よりハイクラスに扱われるとは思えないので、実際には金日成勲章に準じるクラスになるのではないかと思う。
北朝鮮をみていると、どうも勲章インフレが相当進行しているように見える。濫発しすぎではないか。金正恩新体制時代を迎え、新しい勲章をどんどん生み出していく必要性に迫られているのかもしれない。

まあなんにせよ、一度現物を見てみたいものである。

もうひとつ、金正恩バッジについて。
昨年11月頃あちこちのニュースで取り上げられた。
これは、Daily NKの記事のネット版記事(2012.11.9)。

保衛機関の忠誠心高揚を目的に、金正恩自身の肖像が描かれたバッジを製作され、国家保衛部高位幹部に優先的に配布されていると内部消息筋が7日、伝えた。金正日の死後、北朝鮮の幹部は金日成金正日の二人の肖像が描かれたバッジを着用してきたが、今後は保衛機関を中心に金正恩バッジの着用も増えるものと思われる。
(中略)
 バッジは以前の金日成バッジのように、四角形の枠の中に金正恩の肖像が丸く納まっており、金正恩は無表情なスーツ姿で、それ以外の背景の装飾などはないという。
「このバッジをもらった幹部はまるで勲章でもつけているかのように自慢げに行動する。金日成金正日バッジが配られて、それほど経たないうちに金正恩バッジが配布されたことから、他の幹部は多少困惑している」と消息筋は言う。なかには金正恩バッジについて知人同士で「早過ぎないか」とこっそり話す人もいるとのことだ。
 一方、北朝鮮当局は幹部用に製作した金日成金正日バッジとは違う住民用の金日成金正日バッジを製作して配布している。一般住民は金正日死亡後も、金日成バッジをそのまま着用することが多かった。住民用の金日成金正日バッジは、幹部用とは違って、二人の肖像の下に花が描かれている。住民はこれを「元帥様が先代(金日成金正日)を敬う姿勢の表れ」と解釈しているという。
(後略)」

他のメディアによる記事もこれ以上詳しくはない。いずれも画像はなく、「消息筋」からの伝聞情報という扱いだ。
この手の記事については、私は正直半信半疑で、バッジの現物の写真を見るまでは信用しない。これまでも怪しい情報が色々あったからである。
この記事にもあるように、金正恩バッジの登場が「早すぎる」、というのもその理由。金正日の慎重な姿勢を思えば、バッジの登場はいかにも早い。
もっとも、新指導部としては、新しい指導者像を国民に定着させようという狙いがあるのかもしれず、だとすれば金正恩バッジの普及は逆に相当早く進む可能性も、考えられなくはないけど。

しかし気になるのがバッジの形状。「以前の金日成バッジのように、四角形の枠の中に金正恩の肖像が丸く納まっており、金正恩は無表情なスーツ姿で、それ以外の背景の装飾などはない」とある。

「四角形の枠」ってなんだ?もしかして党旗型バッジのことを指しているのか?それとも本当に四角形なのか。
四角形の金日成バッジも確かにあるにはあるが、どちらかといえばマイナーなタイプだ。最も一般的に普及しているのは党旗型バッジなので、それを指しているのではないかと思うが、この記事だけでは判断できない。
そして、「スーツ姿」というのも気になる。普段彼が着用している黒っぽい詰め襟姿ではないのか。ネクタイ・スーツ姿なのだろうか。

もうひとつ、以前当ブログでも紹介した「幹部用・金親子バッジ」についても触れている。「住民用の金日成金正日バッジは、幹部用とは違って、二人の肖像の下に花が描かれている」とあって、このタイプは私もまだみたことがない。「二人の肖像の下に花」って、一体どんな花なのか?

うーむ、気になる。こちらも、早く現物を見てみたい。