いまだに不思議なことがあって、シアヌークはよく生きてこられたなあ、と思う。
コロコロとした笑顔をして、いかにも童顔だ。腰が低く、常に笑顔を絶やさない。だが、まさに血を血で争う地獄絵図を目の当たりにしてきた男である。それを思うとあの笑顔もすこし怖く思えてくる。
時に、ポル・ポトと、ヘン・サムリンと、ベトナムと、中国と、敵対する派閥・国と次々と手を組み、時に闘った。かつては「シアヌーク殿下」と呼ばれたこの男は、1993年の国民選挙でカンボジアの国家元首「シアヌーク国王」となった(2004年に退位)。
新カンボジアの顔となったシアヌークだが、かつてはポル・ポトらを支援し、その勢力伸長に力を貸したという暗い経歴も持つ。そうしなければ殺されていた、と彼はのちに語ったが・・・。
仏教的な王政社会主義、というのが彼の目指した国づくりであった。
複雑で時に後ろ暗い経歴を持つ彼だが、国民の支持は熱い。このバッジは80年代に作られたものと思われる。なにが書いてあるか読めたらおもしろいが分からない。