三島由紀夫といえば今なおカルト的な人気を持つ作家である。カルト的人気作家になるには、作品そのものよりも、その人生がどう共感されるかによるのだろうと思う。
昭和45年11月25日午後12時14分。今からちょうど49年前の今日、自衛隊に決起を呼びかけるも失敗、東京市谷陸上自衛隊東部方面総監室で割腹自殺。享年45歳。
三島由紀夫はその壮絶な最期により強烈なインパクトを社会に与えた。とはいえ、当時にしてみれば、三島由紀夫作品を評価する人たちさえも、その死にざまをどう評価してよいか困惑したというのが実態ではなかったかと思う。
三島作品は、私も高校生の頃なんとなく義務的な気分で読んだ記憶があるが、特に共感することもなく、というかおもしろいとはほとんど感じず、読み終わったときは「やっと終わった」としか思わなかった記憶がある。どうも晩年の「三島事件」のイメージから、なんとなく「まともじゃない人」という私の先入観もあったように思う。
政治的信念については、私はまだよく理解できなかったものの、マッチョイズムというか、ボディビルに凝って肉体改造に励んだという彼のムキムキの肉体アピール写真が、私の違和感を増幅させた。いやむしろ、こっちの方がより直接的に「ついていけない」感じを強く抱いた原因かもしれない。
さて、画像のメダルは製作期が残念ながら不明だが、かなり堂々たるメダルである。オリジナルの箱と小さな解説紙が入っている。
「此度三島氏追悼・記念メダルを御購入いただき有難うございます。
このメダルは純銀製でいぶし仕上をしております。
日本の生んだ世界の作家三島由紀夫先生を皆様の心にいつまでも残るよう願って作られたメダルでございます。
どうぞ大切にしてくださいますよう。」
そして、簡単な「三島由紀夫年譜」がついている。
ちょっと驚くのが製品(メダル)の価格一覧で、
「彫刻:小金丸幾久
純銀製:30g 3,800円
純金製:50g 100,000円
プラチナ製:60g 250,000円」
画像のメダルは一番安い純銀製で、定価3,800円らしいがもちろん私が買ったのはその数分の一の値段であったと思う。となっている。プラチナ製25万円、果たして売れたのだろうかと気になる。
上半身裸で日本刀を構える有名な写真を彫刻したもので、まさに三島らしい姿といえよう。裏面には辞世の句「益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐へて今日の初霜」がある。
小金丸幾久は壱岐出身の有名な彫刻家らしく、現地には記念館もあるようだ。