徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 八幡製鉄株式会社永年勤続章

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これまで、自治体による勲章モドキ(○○市功労章など)を紹介してきたが、各種表彰でメダル・徽章を与えるのは国や自治体の専売特許ではない。今日はその一例として、企業の永年勤続賞を紹介する。

画像は、八幡製鉄株式会社の永年勤続章
歴史の授業でも習ったとおり、日清戦争に勝利し、賠償金を清国から得た日本は、それを元に本格的な製鉄工場を福岡県八幡村に建設する。当初官営であったのが、1934年からは株式会社に引き継がれ、分割や合併を経て現在に至っている。

八幡製鉄株式会社」というのは、調べてみると日本製鐵が分裂して独立した会社で、富士製鉄と合併して新日本製鐵になるまで、1950年から1970年まで存在した名称のようである。この徽章もこの20年間に作られたものということになる。
(ただし、この徽章の中央を見ると、「日」「S」がデザイン化されているように見える。とすると、「日本製鐵」の流れをくんだシンボルなのだろうか?)

それにしても、この永年勤続章の豪華さにはビックリだ。でかくて、重い。これを服につけていたら相当目立つこと間違いなしだ。
直径は65mmあり、純銀製七宝仕上げの3パーツ構造。赤い部分は、溶鉱炉に燃えさかる炎を表現したものであろうか。
裏面には大きく「永年勤続」の文字が篆書体で書かれ、2桁のシリアルナンバーが刻印されている。
製作メーカーは不明だが、かなりしっかりしたツクリで、技術の確かさがうかがえる。
永年勤続表彰というのが、何年勤めればもらえるのか不明だが、一般には20年か30年というところだろうか。

多くの企業が永年勤続表彰の制度を設けているようだが、今や記念品よりも現金や商品券を送るのが主流らしい。この辺は時代の変化を感じる。
これだけ立派な徽章だと、製作コストもバカにならないはず。それに、こんなモノをもらってもまず使う機会はほとんどなく、無駄だからカネでくれ、という人も多かろう。

こうして企業においても、徽章文化は衰退する一方なのである。まあ当然といえば当然かもしれないんだけど。