すったもんだの末に開幕した東京オリンピックも、残りあと3日なのだそうだ。
今日は(性懲りもなく)オリンピックを巡るいくつかの話題をまとめて取り上げてみたい。ただし、いつもどおり全然おもしろくありません。
1点目:メダルのウラ・オモテ問題(卓球・伊藤美誠選手)の続々編
先日、「卓球の伊藤美誠選手はメダルのウラ・オモテを逆に認識しているのではないか?」という疑問を取り上げた。
今日は女子卓球団体の決勝で、中国と日本の対戦が行われた。
結果は3勝0敗で中国の優勝。日本は中国から1勝もあげられなかったのだが、内容としては(贔屓目かもしれないが)見ごたえある好勝負であったように思う。なにより、絶対的実力を誇る中国選手に挑む日本の3選手のひたむきな姿が私などにはほとんどまぶしくさえ見え、なんとか勝たしてやりたいという気分になる。
そして、敗れた日本チームは銀メダルを獲得。表彰台の上で、選手同士お互いの首にメダルをかけあう姿にも拍手を送りたい気分で見ていた・・・が。
あっ。
向かって右端に立つ伊藤選手が、左端の平野選手のメダルの向きを直す様子に目が留まった。平野選手のメダルは裏面が向けられた。そして、日本の3選手は、ふふふっと楽しそうに笑いあった。まるで「あっそうだったね」という感じで。
そして、やっぱり記念撮影には、仲良く3人ともメダルの裏面を掲げた。
というわけで、やはり伊藤選手はメダルのウラ・オモテを逆に認識しているのではないかというのが私の結論である。それとも東京大会だから、大会のロゴがある方を掲げるべきだという別な信念でもあるのか。
念のため繰り返すが、メダルのウラ・オモテなど、どちらを向けようと好きにしてよいのである。
規程上、毎回変わりのない表面デザイン(女神像)に比べ、個性的で工夫が凝らされている裏面デザイン(大会ロゴ)のほうを好ましく思う選手も多いはずだ。
メダルの向きがどちらだろうと、私はそんなつまらないことで選手にケチをつける気はまったくない。
特に卓球の伊藤選手については、これまでの健闘ぶりに、私は密かに熱い声援を送ってきた。シングルスでの銅メダルに悔し涙を流した彼女の姿には、ついもらい泣きしそうになったほどだ。団体戦でも同じ選手に敗れてしまったが、3年後の戦いを今から楽しみにしている。強いライバルがいてこそ自分も向上できるという真実を目の当たりする思いだ。
ただ、価値観はともかく、表はオモテであり、裏はウラである。何度も表彰台に上がっているアスリートたちが意外とそのことに無頓着である、という実態に私は気が付き、観察しているだけである。
なお、余談ながら中国団体チームもそろって裏面を向けていた。
先日の女子シングルス表彰式では、メダルのウラ・オモテについて、どっちを向けるべきか伊藤選手に孫選手が教えられたという報道があった。これ、もしかしたら中国チームも先日の伊藤選手の「アドバイス」によって、そろってメダルをひっくり返したのではないかとひそかに疑っている。
いや、もちろんすべての真相は知る由もないけれど。
※ 8/12追加
メダルの表裏問題については、「デザイン上は表裏は決められていても、つけるときにはどちらを向けて掛けるべきか公式に決まっていないのでは?」という疑問を持つ人もいて、そう言われると少し自信がなかった。
しかし、8/7に実施された日本卓球チームの記者会見画像を見てほしい。
結果的には男子も女子も全員がメダルを獲得した日本卓球チーム(よかったね・・・)。
よく見ると、6人で9枚メダルがすべてオモテ面(女神像の側)を向けているのがわかる。これが偶然ということはありえず、レギュレーション的にもこれがやはり公式の「正しいメダルの掛け方」なのである。確認できてちょっとすっきりした。
ところで、水谷選手は金・銅メダルを2枚かけているが、伊藤選手は金メダルを1枚かけ、銀・銅はケースに入れた状態で卓上に置いている(メダルケースは展示できるような作りになっている)。
2点目:毛沢東のバッジ「今後は選手に付けさせない」…中国五輪委が確約
こちらも昨日書いたネタ。
それについての続報が報じられた。
東京五輪の自転車競技に出場した中国の選手2人が建国の指導者・毛沢東のバッジを付けて表彰式に臨んだ問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は4日の記者会見で、中国の五輪委員会が「今後はバッジを付けさせない」と確約したと明らかにした。バッジの着用は、IOCが禁じる表彰式での政治的な意思表明にあたる可能性が指摘されていた。
へえ、と思ったのが、中国の五輪委員会が「今後はつけさせない」とあっさり表明した点だ。実態はともかく、現政権にとって、毛沢東は建国の父であり、歴史的英雄であるのではないか。
てっきり、そんなことを言われる筋合いはない!とか、毛バッジは政治的な意思表明などではない!とか木で鼻をくくったような中国側の反論を私は予想していたからだ。
なお、中国国内ではCCTVのメディアが、この毛沢東バッジの部分を白塗りで消して報じたたらしい。この措置は国内からなぜ毛主席を消すんだ!と反発を呼んだという。
中国の五輪委員会が毛バッジをつけさせないと確約したり、メディアも毛バッジを削除したり、この反応が私には少し不思議に思えた。
やはり、来年の冬季北京オリンピックへの影響を懸念しているのだろうか。ただでさえチベットやウイグルの民族問題で国際的非難を浴びている中国は、開催が近づくにつれ、オリンピック開催資格があるのかと国際社会からますます厳しく批判されるだろう。政治的に強硬な姿勢を見せるのはIOCの心証を害する恐れがあると判断している可能性を想像する。
3点目:「名古屋市の河村市長がソフトボールの後藤希友選手の金メダルを噛んだ」
市長への表敬訪問に訪れた後藤選手の金メダルを、自分の首にかけてから、「本当に重たい」などと言いながら、いきなり歯で嚙んだのだ。
著名アスリートをはじめ、多くの人が市長の行為を批判、大炎上となった。後藤選手が所属するトヨタ自動車も「アスリートへの経緯や賞賛、また感染予防への配慮が感じられず大変残念」とのコメントを発表。まあ、まさにこのコメントに尽きよう。
ネット上では、感染予防対策上の問題や、そもそも気持ち悪すぎるという意見も大きいようだが、私はメダルが傷つかなかったかという点が気になった。
オリンピックのメダルの材質はIOCにより規格が決められている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の公式サイトによると、仕様は以下のとおり。
直径 85mm
厚さ 7.7mmから12.1mm
重さ 金: 約556g
銀: 約550g
銅: 約450g
原材料
金: 純銀に6g以上の金メッキ
銀: 純銀
銅: 丹銅 (銅95 : 亜鉛5)
形 丸型
金・銀メダルは、銀製なのである。それもスターリングシルバーより硬度の低い純銀製。力を入れて歯で噛んだら跡が付いてしまうのではないか。
そう思って、確認のために問題のシーンをニュースサイトの動画で見てみたら、はっきりと「カチッ」とメダルに歯が当たる音が聞こえた。
あ、これはダメなんじゃ・・・ととっさに感じた。
湧き上がる批判の声を受けて、河村市長は謝罪。ただし「ぐっと歯がくいこむようなかみ方はしていない」とも釈明した。そりゃまあメダルに食い込むほどごりごり噛むバカもあまりいないだろう。
だが、あれでは小さくとも痕は残ってしまったのではないかと思う。命に代えても欲しかった金メダルに歯型をつけられた選手の気持ちも思うと確かにかわいそうだ。
また「メダルを交換してあげられないのか」という声に対しては、組織員会は「組織委は「メダルの製造瑕疵(かし)があった場合のみ、組織委員会が窓口となり無償で対応する。それ以外は対象外」とコメントした。
まあもっともだ。
そういえば、これを書いていて、昔、報道番組で、久米宏がメダリストをゲストに招いた時、2枚のメダルを両手に持ってカンカンとぶつけていたことを思い出した。
あの時も久米宏は批判されたように記憶するが、まだ20歳の女性にしては、70過ぎの年寄りに大事なメダルを嚙みつかれたのはさぞショックであったろう。