東京オリンピックが終わってひと月半、さすがにオリンピックの話題も聞かなくなってきた。当ブログにおいても、オリンピック期間中はアクセス数がいつにもなく増加していたのがまあ通常モードに戻ったところだ。
オリンピックは当ブログに多くのネタを与えてくれるありがたいコンテンツではある。他にネタもないので、もう少しオリンピックネタにお付き合いを・・・。
オリンピックの選手になった気持ちになって想像してほしい。オリンピックに参加した一世一代の証として、何か手にしたいとは思わないだろうか。
まず、競技で3位以上の成績を収めた選手は、金銀銅メダルがもらえる。そのほか、ブーケや、メダルを収めるケース、賞状も付いてくる。これを目指して世界中のアスリートが血眼になっているわけだ。
3位に入れなくても、上位入賞者になれば賞状がもらえる。
では、入賞もできなかったほとんどのオリンピアンは、まったくの手ぶらで帰国するしかないのか・・・というと、実はさにあらず。
あまり知られていないようなのだが、オリンピックには「参加者バッジ(PARTICIPANT PIN)」が配布されるのである。金銀銅メダルに比べればはるかにささやかなアイテムではあるが、これは誰でももらえる。
その実物がこれ。2016年のリオデジャネイロオリンピックで配布されたもの。オリジナルのケースにバッジは収まっている。
詳しく見てみよう。
ケースの大きさは、一辺約11cm。ケースのあけ口は磁石入り。中には小冊子が入っていて、台紙に金色のバッジが留められている。
バッジの大きさは幅約16mm。たいまつ型にオリンピックマークを配したデザインで、たいまつには大会の開催年である「2016」の数字がある。バッジはバタフライクラッチで服に留める型である。
バッジの裏面には6桁のシリアルナンバーが刻印されていて、同じ番号が箱の裏面にシールで貼ってある。
割と小さくさりげなくバッジではあるが、シリアルナンバーがあることで、一点モノ感があって、これがあるとないとでは、もらった方のアリガタミが違う。
また、バッジ裏にはメーカー名も刻印されていて、「G.D.E. BERTONI MIRANO」。
ベルトーニ? あれ?・・・と私のかすかな記憶が反応する。
先日紹介したオリンピック功労章の画像をみると、箱裏に同じメーカー名が見える。
どうもこのBERTONIというメーカー、オリンピック関係の徽章・メダル類の作成をいろいろ手掛けているようである。IOCから直接製造委託を受けているのであろう。でもなんでミラノのメーカーなのだろうか? IOCの本部はスイスにあるのだが・・・。
オリンピックの金銀銅メダルは、IOCの承認を得て開催国で製作される。おかげで今回の東京大会では、わが造幣局が製作を担当したのである。
しかし、この参加者バッジやオリンピック功労章は、各国の大会組織委員会に任せるのではなく、IOCが直接発注しているのだろう。
そのため、毎大会で同じ参加者バッジが配布されているのである。ただし、バッジに入っている年号(リオ大会バッジでは「2016」)だけは、もちろん大会ごとに違ってはいるが。
メダルは開催国のオリジナリティを出すためにその国で作らせるのに、こうしたバッジはミラノで毎回作り続ける・・・この違いは何か。
箱の中に入った小冊子に、次の言葉が見える。
「This is your Olympic Participant Pin, As an Olympian, you can wear it from now on with great pride. All the best to you! Thomas Bach」
(これはオリンピックの参加者バッジです。オリンピアンとして、あなたは今から大いなる誇りとともにこれを佩用することができます。幸運をお祈りします! トーマス・バッハ)
おお、そうか。このバッジ、オリンピアンならぬ私が身に帯びることは許されていないのか(使うつもりはもちろんないけど)。
このメッセージは、オリンピアンの平等という理念を象徴している気がする。だからすべての大会を通じて同じバッジでなければならず、それについてはIOCが直接製作配布を行っているのではないかと想像を巡らせている。参加者バッジは、オリンピアンの共通アイテムなのであろう。
もちろん今回の東京オリンピックでも参加者バッジは配布された。ネットで見ていたらものすごく高いので、今はまだ入手できていないが、そのうち安いのを見つけたら現物を手にしたいと思っている。気長に待つことにしよう。
なお、この参加者バッジ、いつどのタイミングでどのように配布されるのか、対象者は誰か(選手以外の関係者ももらえるのか?)、などいろいろ個人的に不明の点がたくさんある。
どうかご存知の方、ご存知でしたらぜひ教えてください。よろしくお願いします。
(コメントいただければ幸いです)