全国の市町村では、「自治体の勲章」ともいえる功労章を制度として持っている。ユニークなものもあれば、なんでこんなことになったのかと思うようなものまで多岐多様にわたり、日本の徽章文化の観点から興味深いものと思っている。
よくあるのが、日本や海外の勲章を思い切り模倣したパターンもしばしば見られる。
画像は函館市功労章である。どこかの勲章を真似したりせず、独自のデザインを追求したもので、自治体功労章としてはよくできていると思う。現物はけっこう高級感ある作りである。
しっかりした純銀製のツクリで、七宝が施されている。中央に配したデザインは市章であろうかと調べてみた。
どちらかといえば、使われているのは市旗のデザインである。金色の鳥(カモメか?)や周囲の波模様は、功労章のオリジナルデザインである。
上部は「功労」の文字、本体は白と青の七宝で、その上の金色のカモメらしい鳥は別パーツとなっていて、この功労章のアクセントになっている。
港町として発展した函館の象徴なのだろうが、白・青を基調とした色合いが銀の肌に美しく映えて好ましい。
中央の5角形の星形はもちろん函館五稜郭。そして中央の丸い部分は、函館市のサイトによると、
天然の良港函館港は、津軽海峡に突出した岬の角に抱かれた形をしており、海水が深く湾入して巴状になっているところから、俗に「巴の港」といわれています
意外にも、このデザインは港の地形から来ているそうなのだ。
黒漆の箱に収まっていて、製造メーカーは不明ながらこの種のモノとしては出来が良い。