徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 ナイチンゲール功労章(1954年)

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フローレンス・ナイチンゲールメダル」といえば、赤十字国際委員会が授与する看護功労者の最高章である。日本では皇后から親授されている。
これほどまでのモノではないにせよ、これに準じたモノということでいいのか、国内で稀に見かけるのがこの「ナイチンゲール功労章」である。前から欲しかったのだが、意外と高く、なかなか手が出ないなあと思っていたところ、やっと入手できたので紹介しよう。

表面は中央にナイチンゲールの肖像と「NIGHTINGALE DECORATION」、裏面には「功労章 大阪府 1954年」とある。
メダル上部の赤十字の中央には、花型のマークが見えるが、これは漢字の「大」を組み合わせたものだろう。とすると、このメダルは大阪の赤十字組織が独自に制定したものか。周囲に5つの花を配していて、ピンク色のガラス?をはめ込んでいるのがアクセントになっている。
デザイン的にはちょっと微妙な気もするが、ツクリ自体は良く、丁寧に作られていてそれなりの高級感を感じる。ピンクのガラス?がキラリと光り、女性用アクセサリーの雰囲気が漂う。

メダルには、細い銀の鎖が上部の環に通されていて、首から提げる形式である。
今計ってみたら、鎖の長さは約40cm。この長さでは、胸元というより、喉元にくる。

こういう形式の功労章はあまり見かけない気がする。通常、功労章といえば、バッジ式か、リボン(綬)にぶら下げて服に佩用するか、首に提げるにしてもリボンを使うのが一般的である。鎖で首から提げるというのは、ちょっと他に思いつかない。この辺、授与対象者がそもそも女性であるということに思い当たる。

バッジにせよメダルにせよ、あるいは勲章にせよ、「いかにして身に帯びるか」というのが普遍的課題なのである。服に留めるとなると、女性と男性では服自体の形式が異なるので、その留め方が問題となる。これはあまり注目されにくい点だが、極めて重要な問題なのだ。

その点、このナイチンゲール功労章は、初めから女性に限定したアイテムなので、ペンダントのように鎖で提げる形式を採用したのであろう。

なお、裏面には「SILVER」、「内外造」の2つ刻印が見える。
ということは、これ関西のメーカーではなく、東京神田の「内外徽章製作所」の作か。