徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日露協会会員章(ソ連国旗版)

f:id:badge_culture:20220321013031j:plain

日露協会会員章

歴史的事件というのは、その時代を生きている人にとって、その歴史的な意義をリアルタイムで認識するのが難しい。我々は、「きっとこの事件は世界史的な大事件に位置づけられるだろう」という漠とした予感だけをとりあえず留保して、日々起こるドタバタをこなしていくほかないのである。そして何年も後になって振り返り、あの時の事件の影響で世界はこう変わったのだな、とやっと客観的に認識できるのである。

ソ連邦の解体のときもそうだった。東日本大震災新型コロナウイルス。今起きているロシアとウクライナの戦争もそうなのだろう。これをきっかけに世界が大きく変わるかもしれない、たぶんそれは良い変化ではないだろうという予感だけを心に留めつつとりあえずは日常をあくせくと生きている。

さて、ロシア情勢が連日報じられているので、ロシア絡みのモノを紹介する。

画像のバッジは、日露協会会員章である。

非常に手の込んだ美しい徽章で、透かし彫りを施した作りといい、多色の七宝を使った彩色仕上げといい、本当に素晴らしい一品である。直径は22mm足らず。

日本とソ連の旗を組み合わせたデザインで、その周囲に日本のシンボルとして桜花、ソ連のシンボルとして麦穂を描いている。よく見ると桜の花や葉には美しくぼかしが施され、麦の葉の色はよく見ると2色に塗分けられている。さらに芸が細かいことに、日本の旗の旗竿には、白黒の模様が描かれている。旗竿は太さが0.5mmほどしかない。

この種の徽章としては傑作といっていいだろう。製作は、東京市芝区桜田本郷町にある杉村商店製(オリジナル箱にシールが貼られている)。

 

実は面白いのが、この「日露協会」の名称である。

箱には日露協会会員章とあるが、併記されているロシア語の方は、「日露」ではなく、「日ソ」と表記がずれている。赤旗に槌鎌の国旗からしても、「日ソ」のほうが正しいのではないかと思うのだが。

 

実は、かつて当ブログではもう一つの「日露協会会員章」紹介したことがある。

badge-culture.hatenablog.com

これも実に見事というしかない出来の徽章で、今回のものと対をなす存在。が、この「ロシア国旗版」では、日本語もロシア語も「日露協会」となっているのだ。

ロシアがソ連に代わっても、日本における会の名称は(日本語だし)そのままにしたということだろうか。本来なら、日本語名も変えるべきと思うが・・・。

興味ぶかい徽章であり、一対でそろえておく価値があると思う。