徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日露協会会員章

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NHKドラマの影響もあって、最近、「坂の上の雲」を読みかえしている。
弱肉強食の帝国主義の時代を生き抜くため、生まれたばかりの明治日本は超大国ロシアとの戦争に突入していく。日本の実力を過小評価したロシアに対し、日本は国の存亡をかけて外交内政軍事と総力を挙げて戦いに臨み、なんとか勝利を得ることに成功する・・・というお話。
改めて読んでみて、おもしろい。こちらも少し知識や経験を積んだ年になってから読んでみると、昔感じたのとは多少違うけど、それでも魅力的な小説である。

というわけで、ロシアつながりということで、「日露協会会員章」でも紹介しよう。
製作年は不明だが、箱やツクリから、その他のバッジと比較しておそらく大正期のものではないかと思っている。私のお気に入りバッジのひとつである。

日露両国の国旗の周りを花輪が囲んでいるというデザイン。花輪の上部は菊と桜で、日本を象徴する花であり、とすると下の椎の実?などはロシアの象徴なのだろうか。
裏面には、漢字で「日露協会」と、同じ意味のロシア語が書かれている。

直径2cmあまりのバッジだが、とにかく七宝仕上げの美しさには驚嘆する。一体何色の七宝を使っているのか・・・とつい数えてしまうくらいだ。
画像では分かりにくいが、中央の国旗は真っ平らに磨き上げられているのに対し、周りの草花は盛りつけるように七宝が施されていて、立体的に表現されている。
さらに、日本の国旗の旗竿は、普通白黒2色塗りになっているが、よく見るとこれがバッジでも表現されているのが分かる。この芸の細かさ。
このバッジの大きさからすると、けっこう肉厚なツクリで、全体は透かし彫りとなっており、作り手の側から考えてみると、この作業はけっこうめんどくさそうだ。

しかしまあ、これが作り手のこだわりなのか、依頼者の要求なのか分からないが、さほど特別なバッジとも思えないこの一品にこれだけの手間をかけるとは、とてもじゃないが、今では考えられない。
もし、今コレと同じモノを作ろうとしたら、カネも手間はどのくらいかかるのか・・・と考えさせられる一品だ。