徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本皐月協会バッジ

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日本皐月協会バッジ

4月は、園芸心が盛り上がる季節でもある。ホームセンターなどでも園芸コーナーが拡張され、休日には多くの客が訪れている。

植物を飼養すること自体を楽しみとするのは、我々地球人類の不思議な習性のひとつである。食物を得るためではなく、単に育てたり増やしたりすることを喜びとする、この衝動は一体何であろう。

大航海時代以降、ヨーロッパに生まれたプラントハンターは、文字通り命を懸けて地球のあらゆる地域に赴き、未知の植物を集めまわった。日本でも古くから園芸趣味は盛んで、高度な栽培や品種改良技術が生み出されてきた。江戸時代に日本を訪れたヨーロッパのプラントハンターは、庶民にも園芸が広く愛好されており、膨大な量の植物が売買されているのに驚嘆したという。

園芸に対する愛好は、古今東西に共通する人類の習性なのだろうと思う。

思い出せば、今は亡き祖父は、盆栽が好きな人であった。特にサツキの盆栽が多かったように思う。初夏には盆栽自体が山盛りの花の塊のようになるのであった。

私も大人になって、盆栽こそ手を出さないものの、今では狭い庭やベランダのスペースで小さくも愛らしい植物たちをたくさん鉢やプランターで育てるようになった。たくさんの花をつけ、だんだん大きく育ち、数が増えてくれるのが何とも言えず楽しい。

桜の花も終わり、だんだん温かい日が増えてきて、道端ではアリたちが盛んに動きまわり始めた。もうすぐサツキの季節だなあと感じる。

そんな季節に、今日はこのバッジを紹介しよう。

裏面に日本皐月協会とあるバッジ。会員章だろう。サツキの花をそのまま象ったバッジである。

どんな組織なのだろうか。一般社団法人日本皐月協会の公式サイトをネットで調べると、これがなかなかすごかった。

日本皐月協会は、サツキ園芸およびサツキ盆栽芸術の向上と普及発展をはかり、かつ国民の情操を高め、あわせて文化の発展に寄与することを目的として設立された日本最大のサツキ愛好家団体です。国内で最も古い歴史を持ち、2013年4月現在で97支部を有しています。

沿革(抜粋)

大正13年 大日本皐月同好会が発足

昭和2年 帝国皐月好有会が発足

昭和13年    大日本皐月同好会と帝国皐月好有会が合併して、帝国皐月会となる

昭和24年 帝国皐月会が新生「日本皐月会」として誕生

昭和49年    日本皐月会を日本皐月協会に名称変更

毎年、さつきフェスティバル(皐月花季陳列展)と錦秋展が開催されており、これが協会の主要行事のようである。

 

さて、バッジである。

サツキの花をそのままバッジにした作りだが、ところでサツキとツツジの違いというのを御存じであろうか(厳密には、植物分類上はどちらもツツジ属(Rhododendron)の植物で、サツキとツツジの違いというのは園芸上の区分に過ぎない)。

簡単に言って、サツキの花はツツジよりもずっと小さく、開花期もサツキが初夏5~6月なのに対して、ツツジは春頃4~5月である。

もう一つのサツキとツツジの見分けるポイントが、おしべの本数である。

サツキのおしべは5本だが、ツツジはそれ以上のものが多く10本程度のものもある。

バッジをよく見てみると、金メッキされた5弁の花の中に、1本長く見えるめしべの周りに5本のおしべがきちんと表現されている。

 

参考に、以前紹介した帝国愛蘭会のバッジの記事を再掲する。

badge-culture.hatenablog.com