徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 「人は右 車は左」バッジ

 

「人は右 車は左 対面交通(香川県)」バッジ

このバッジの正体は何だろうか。単なる交通安全キャンペーンか。「人は右、車は左」という交通ルールなら、小学生でも知っている。このバッジはそんな当然のルールを訴えるために作られたものなのか。

いや、当然ではないから作られたのである。「人は右、車は左」という歩行者と車の対面交通方式は昭和25年に作られた交通ルールなのである。

以下は、愛知県警の「交通事故を防ぐには」のQ&Aである。

Q26 日本では、なぜ「車は左側通行、人は右側通行」なのですか。
A 日本で、「車は左側通行、人は右側通行」になったのは、昭和25年ころからです。

それまでは人も車も左側通行でしたが、交通安全のために、車は従来のまま左側通行とし、人は右側通行とする「対面通行」を取り入れたからです
なお、外国ではアメリカなどが「人は左、車は右」の対面通行をとっており、イギリス、インド、オーストラリアなどが日本と同じ「車は左、人は右」の対面通行をとっています。

なぜ日本では昔、人は左側通行だったの?
人や車が通るところのきまりは、明治以前には特別な定めがありませんでしたが、道路交通が発達し、明治33年に左側通行制度が採用されました。左側通行としたのは、昔から武士は左腰に刀をさしていたので、自然に左側を通行する習慣がついていたのを考慮したとも言われています。(右側を通ると刀のさやが触れ合うし、左側からの攻撃に対しておくれをとるからです。)

対面交通方式は、GHQの指導により戦後に決まった交通ルールなのだ。対面のほうが、歩行者が前からくる車の通行を事前に察知しやすいためだと言われる。

道路交通法第10条第1項では、次のように規定されている。

歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行することができる。

一方、対面する歩行者同士の通行はどちらかというと、基本左側というのが駅その他の場所での通例となっているように思う。

つまり、車を中心に考えれば、車は左側通行なので、歩行者はその対面側となる右側通行だし、歩行者を中心に考えれば、歩行者同士の場合は左側を通行するということになるのだ。この理屈に自然に気が付くまで、私はかなりの時間を要し、高校生のころまで「なぜ駅構内では人は左側通行に変わるのか」と漠然とした疑問を抱き続けていたように思う。「日本では基本左側通行。車・歩行者の場合は車が優先して左側通行、人・人の場合も左側通行原則が適応される」というルールに自然に気が付いたのは、車を運転するようになってからだったような気がする。

意外とややこしいものである。

そうそう、バッジである。このバッジは昭和25年にできた新しい対面通行ルールをPRするためのものである。香川県で作られたものらしいが、私は他の県で作られた同様のバッジを見たことがある。全国でキャンペーンが行われたのだろう。

当時はこういう目的でバッジが作られたというのが面白いところだ。