徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 人民解放軍型「毛沢東バッジ」

久しぶりに毛沢東バッジでも紹介しよう。

文化大革命期における毛沢東バッジの種類はまさに数限りなく、毛沢東肖像をテーマにしたさまざまなバッジが作られた。そのいくつかはこのブログでも紹介してきたところである。

星の数ほどあるその毛沢東バッジの中で、最もメジャーなタイプとして有名なのは、いわゆる解放軍型バッジ、すなわち「解放軍套章(解放軍セットバッジ)」であろう。5角星形の毛バッジに加えて、その下に横長のバッジを組み合わせてつけるため、「套章」と呼ばれる。このバッジの形式は、文革期以前の解放軍の奬章や労働模範メダルを簡略化したものであるとも指摘されている。
この型のバッジは主に人民解放軍の戦士が軍服につけたものだが、民間でもこれをまねた類似のものが数多く作られている。

まずは当時の写真から。
イメージ 1

1970年前後に撮影された解放軍戦士の写真(右側はバッジのアップ)

イメージ 2

天安門楼閣上に毛沢東と並んだ林彪


ではバッジ本体を詳しく見てみよう。
イメージ 3

左:表面、右:裏面

表面は、下のバッジには毛沢東の筆跡で「為人民服務(人民に奉仕せよ)」の文字がある。

それぞれのバッジ裏面には、
做毛主席好戦士(毛主席の良い戦士になろう)」「中国人民解放軍総政治部制
中国人民解放軍総政治部制
とある。
この「做毛主席好戦士」の字は、当時党副主席・国防部長であった林彪によるものである。

人民解放軍総政治部(略称は「総政」)とは、軍内のの政治工作を担う機関であり、その創設は1930年までさかのぼる。この辺、ソ連赤軍などと同様、革命軍ならではの性格が濃厚である。所属機関には、人民解放軍軍事学院や軍事博物館、軍楽団、歌舞隊、歌劇団、映画製作所、ラジオ局、出版所まである。
軍の政治的マネージメントだけでなく、様々な文化活動まで幅広く行っていることから、当時毛沢東バッジの製作も担ったのだろう。

こうして見ると、このバッジは草色をした人民解放軍服によく映え、なんとなくバッジがないと落ち着かないような気すらする。