今日、目を引いたニュースにこんなのがあった。
「英領北アイルランドのカトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)の政治組織シン・フェイン党の元幹部で、英国のスパイだったことを告白し党を除名されたデニス・ドナルドソン氏が4日、アイルランド北部で射殺体で発見された。(共同通信)」
スパイであったことを告白したら殺されたというのもスゴイが、シン・フェイン党の幹部が実はイギリス側のスパイだったということ自体がもっとスゴイ。IRAとイギリス側との凄惨な戦いを垣間見る思いがする。
いや実際イギリスという国は、かつて7つの海を制したと言われ、産業革命を成し遂げた大帝国でありながら、その本体は実に複雑だ。アイルランド問題は、そのひとつに過ぎない。
そもそも、前から思ってたんですけど、この国をなんと呼ぶべきなのか。「イギリス」か。「ブリテン」か。それとも「連合王国」?いちばん政治的に無難な表現はなんなのか、誰でも迷うんじゃないか。
英国大使館のサイトを見てみると、「グレート・ブリテンここでは「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」を意味するためにBritain (英国) という用語を非公式に使用しています」とある。
しかし・・・
Britain (英国) を非公式に使いますよ、というこの微妙な表現。
ブリテンという呼称の使用は、この地域を巡る紛争が悲惨だっただけに北アイルランドのユニオニストたちの神経を刺激しかねない。ということで、やっぱり結局我々日本人に可能な手段として、「英国」と呼ぶのがいちばん無難ということになりそうだ。
今日紹介するバッジは、保守系ユニオニストのバッジで、とても興味深いものである。
全体の形は、世界で最も有名な英国最高位勲章であるガーター勲章の青いガーターが円く輪を作り、その真ん中の花はシンボルだ。
てっぺんで咲いているのがバラ(イングランドの象徴)、その左がアザミ(スコットランド)、その左がコメツブツメクサ(アイルランド)、いちばん右がラッパズイセン(ウェールズ)。・・・
それらがキメラ化してひとつの植物体として表現されているところが、さすがユニオニストというべきだろう。
もっとも、この怪物的な姿こそ「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」の実態だ、と反ユニオニストなら批判するだろうけど。