この物憂げな老紳士は誰か、一発でわかる人がいたらスゴイが、救世軍の創始者ウィリアム・ブースである。もとはメソジストの伝道師だったという。
黒い救世軍制服姿で、よく見ると襟には「S」の襟章、胸元には救世軍のシンボルマークが見え、救世軍モノであることがさりげなく表現されている。
救世軍指導者の肖像画だが、何かに苦悩しているようにみえる。
考えてみれば、政治的イデオロギーバッジには、このような表情はあんまり見ない気がするなあ。政治指導者の肖像は、みんな威厳と自信に満ち、堂々としている。その辺が宗教バッジとの違いかもしれない。
このバッジ、いわゆるカンバッジタイプだが、その印刷の美しさは際だっている。カンバッジは安価で大量に作製できるのが特徴だが、このバッジは色も複雑で印刷も細かいところまでよく表現されていて感心する。
ひそかにおもしろいのが、裏面に張りつけられた紙片で、「THE SALVATION ARMY UNIFORM AND OUTFIT DEPARTMENT LONDON」とある。どうやらロンドンの救世軍の制服などを扱うところで製作されたようだ。