徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 白鳥事件「再審・釈放」バッジ

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この前、いわゆる幼女殺害の足利事件で逮捕された男性が、犯人とは別人であることがDNA鑑定で判明。証拠が崩れたとして、再審前に釈放されるという異例の事態となった。
冤罪であったわけだが、犯人とされた男性は17年間を殺人犯として獄中で過ごし、その間両親もなくなったというから、この事件に関わった司法関係者の責任は極めて重い。

ところで、もう半世紀以上昔の事件だが、1952年1月、北海道札幌市で警官が射殺されるという事件が起きた。被害者の名をとって、「白鳥事件」として世に知られる事件である。
当時過激な武装闘争路線をとっていた日本共産党員が犯人として逮捕。党員3名が有罪判決を受け、主犯格には懲役20年の判決が下った。
しかし、警察の捜査手法や証拠とされた物件に問題ありとして、被告側は再審請求を行うも却下。刑は確定した。それでも、最高裁は再審による被告救済の道をより開く判断を下し、以後の冤罪事件に大きな影響を与えたとされる。
その意味では、今度の足利事件にも影響を及ぼした事件といえるだろう。

このバッジは、おそらく共産党か関連組合が作ったモノと思われるもので、犯人とされた党員の無罪釈放を求めている。
裏面には、「安保・沖縄・白鳥」、「1962-1969 1969.3.10-25-4.5」とある。年月日の意味はよく分からないが、1969年の春に作られたモノであるらしい。時期的には、ちょうど再審請求を行っていた頃である(1975年に再審請求棄却)。
すでに事件発生から17年以上が経過したことになるが、当時、党組織では、日米安保反対、沖縄返還と合わせて、釈放運動を盛んに展開していた様子がうかがえる。

今度の足利事件を見ていてつくづく感じることだが、冤罪防止には正確な科学的捜査技術と、それを活かす司法制度の両方が絶対に不可欠なのだなあ。
それでも、人の世には「絶対」はない。科学鑑定がどんなに進歩しようと、それを扱う人間のほうはどうだろうか。
冤罪をゼロにすることは無理かもしれないが、たとえ少しでも少なくすることが重要なのだ。今度始まった裁判員制度は、より多くの人が「納得できる司法」を確立するためにも、私は必要なことだと思うのだけど・・・。